「新生」アルビレックス新潟が6年ぶりにJ1に帰ってくる。失速した昨季とは何が違ったのか (2ページ目)
シーズンの進行とともに失速した昨季と、加速した今季。その違いを語る堀米の言葉は明解だった。
「練習量が増えて、試合終盤でもしっかり走れる選手が増えたことと、(選手起用の)ローテーションがすごくうまくいって、試合に出た選手がしっかりと与えられた時間、ポジションで結果を出せたこと。そのサイクルがすごくうまくいったなと思う」
そんな今季の強さを象徴的に示していたのが、仙台戦の後半アディショナルタイムで生まれた3点目のゴールである。
FWアレクサンドレ・ゲデスのドリブルに始まった速攻は、ゲデスからMF秋山裕紀、MF松田詠太郎へとパスがつながり、最後は松田のクロスをゲデスが決めて見事に完結。自陣でルーズボールを拾ったMF星雄次も含め、ゴールに絡んだ4選手すべてが、後半に途中出場した選手だった。
貴重なダメ押しのゴールを振り返り、「今季の積み上げのなかでの我々の強みが出せた」と喜んだ松橋監督は、継続の重要性についてこう話す。
「アルベルが築き上げたものは、我々のカラーを強調する土台であり、大事な部分。そこにつけ加えるものによって、さらによいものにしていくとり組みを今季してきた。それを少しずつ出せたのも大きかった」
終わってみれば3-0で勝利し、難なくJ1昇格を決めたように見える仙台戦にしても、相手は新潟自慢の攻撃を防ぐべく、まずは中央の守備を固める策を講じてきた。
仙台の伊藤彰監督曰く、「ボールを握られることは想定していたが、中央にクサビ(の縦パス)を入れられないようにすることと、入れられたところを抑える守備。それは自分たちが用意したものだった」。
いかに新潟が順調に勝ち点を積み重ねていたとしても、シーズンが進めば、対戦相手の新潟対策も当然進む。それに対抗できなったのが、昨季だったと言えるかもしれない。
しかし、今季の新潟は、それでも強かった。
仙台が築く守備ブロックの間に生じるわずかなスペースを見つけては縦パスを打ち込み、徐々にゴールへの道筋を切り開いていった。
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