川崎フロンターレが見せた王者の意地。痛恨の敗戦から1週間でとり戻したもの (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

サンフレッチェ広島のハイプレスをかわして4-0と圧勝した川崎フロンターレサンフレッチェ広島のハイプレスをかわして4-0と圧勝した川崎フロンターレこの記事に関連する写真を見る 鬼木監督が満足そうに語る。

「相手のアグレッシブな前からのプレスがあったが、アグレッシブであればあるほど、空くスペースがある。そこへ、人が走っていくこと。そこへ、ボールを落とすこと。そういうことを意識しながらやった」

 川崎は前節、湘南ベルマーレに1-2の逆転負けを喫していた。残留争いに苦しむ湘南を相手に、先制しながら勝ち点1さえとれなかった試合は痛恨だったに違いない。

 しかし、そこからの1週間を振り返り、「自分たちのサッカーは何か、を突き詰めていく時間になった」と鬼木監督。「しっかり全員がボールを動かす意思があった。頭が研ぎ澄まされた状態でプレーできた」と、嫌な流れを引きずらなかった選手たちを称えた。

 会心の勝利を飾った川崎は、これで2位浮上。広島と入れ替わって首位に立った横浜F・マリノスとは勝ち点3差のまま、残り7試合に逆転優勝をかけることになる。

 3連覇がかかる川崎は今季、コロナ禍にも見舞われ、苦しいシーズンを過ごしてきた。

 J1ではおよそ4年ぶりの連敗を喫するなど、一時は6位まで順位を落としたばかりか、AFCチャンピオンズリーグではグループリーグ敗退。天皇杯とルヴァンカップでも早々に敗退し、リーグ戦を除くタイトル獲得の可能性はすべて消滅している。

 だが、王者の意地とでも言うべきか、よろめきながらも倒れず、ファイティングポーズをとり続け、J1ではどうにか優勝戦線に踏みとどまってきた。

 谷口が語る。

「3連覇が簡単なものじゃないのはわかっているが、(現在2位で)つかめそうな位置にいる。みすみす逃すことはない」

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