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ドイツ最強のクラブ、バイエルン・ミュンヘンが求める資質、求める人材とは? (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 そして、もうひとつのポイントは、人間的にも成長しなければいけないということです。彼らがこちらに対して、コーチだからとか、年齢が上だからとおどおどするのではなく、彼らが勇気を持って質問したり、自分の意見を言ったりすることができる環境を作ってあげることが大切です」

 当然、トレーニングメニューもそれに沿ったものが提供されなければならない。

「脳で考えるとか、認知のところに刺激を与えるようなトレーニングを入れていて、実際に彼らが声に出して自分の考えをうまく伝えられるように、そういう部分を含めて、考える力を養えるようなアプローチもしています。

 試合はプレッシャーが高いなかで行なわれますし、クリアティビティ(創造性)を伸ばさなければいけません。難しい状況でも、できるだけ多くの選択肢を持ち、その時に最適な選択ができるというのがクリアティビティ。そういう部分を引き上げられるようにアプローチしています」

 現代のサッカーを見ていると、特に最近の顕著な傾向として表れているものとして、非常に細かな戦術を駆使するチームが台頭していること。そして、選手には高いフィジカル能力が求められるようになっていることが挙げられる。

 こうした傾向もまた、選手育成に影響を与えているのだろうか。

 まずは、細かな戦術を理解する能力について。

「たとえば、(現在マンチェスター・シティの指揮官である)ジョゼップ・グアルディオラのサッカーは、最初は理解するのが本当に難しい。ですが、そこでもやはり、まずはクリアティビティがすごく大事で、その下にあるもののひとつが、インテリジェンスだと考えています。

 選手というのは、試合のなかでたくさんの情報を集めて処理して、それを自分のなかに落とし込んで表現していくことがすごく大事になる。そのためには、たくさん考えないといけません。そこではコーチが、『キミは今ここにいなさい。次はここ。次はここ』と、毎回伝えることはできないのですから、だからこそクリアティビティを大事にして、自分で考えてプレーしなければいけないのです」

 続いて、フィジカル能力について。

「もちろん、体の強さやフィットネスは大事な要素のひとつです。サッカーという競技自体がダイナミックになっていますし、強度も高まっていますから、ケガの予防も含めて、体のコンディションを高めていかなければいけません。そのためには、ただ筋トレをして筋肉をつけるとか、体を大きくするというだけでなく、柔軟性とか、可動域を広げるといったところに対してもアプローチした練習を取り入れる必要があります。

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