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西川周作が衝撃的だったGKコーチの否定。「イチからすべてやり直している」守護神に何が起きたのか (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by AFLO

徹底的にクセを修正した西川

 たとえば、ボールの弾き方である。

 ミレッGKコーチからは、次のように問われたという。

「手の平でグーと同じくらいの強さが出せる場所は、どこだと思う?」

 自分の手を眺めて西川は、手の平の付け根よりやや上、小指球のあたりをさすった。ドイツ代表のGKマヌエル・ノイヤーがその箇所でボールを弾いていたことを思い出したのである。

「掌底とでも言えばいいんですかね。今までは手の指でボールを弾くような感覚だったのですが、手の平の下部分の硬いところで弾いたほうが、ボールは遠くに飛んでいく。

 思い返すと、そうした細かい指導って、プロになってからはなかなかしてもらっていなかったなと。倒れたあとの起き上がり方もそうですし、セービングをした時になぜ足を伸ばさなければいけないのか、ひじを曲げてはいけないのか、ひとつひとつの説明をジョアンはしてくれました」

 今シーズンの西川のプレーを思い返してみると、クロスボールに飛び出した時にも、手の平で突き出すように弾いている場面が浮かんだ。

 言われたことをこなすのではなく、理由を聞き、納得したうえでプレーしているから迷いがないのだろう。

「これは自分のクセのようなものかもしれないですけど、左に飛んだあとに起き上がって右に移動する時の回り込み方がなかなか直らなかったんですよね。そこも含めて、シーズン序盤は考えながらプレーしていたので堅さが抜けなかったのですが、今はそのクセも直り、無心でプレーできるようになってきたので、成長をより実感できています」

 本人が「無心でプレーできている時は無双モードになる」と表現する状態になってきたのは、タイで戦ったAFCチャンピオンズリーグ2022のグループステージを終え、帰国したあたりからだったと言う。

 当時の浦和はなかなか勝ち点3を奪えず苦しんでいたが、5月8日の柏レイソル戦(J1第12節)、13日のサンフレッチェ広島戦(J1第13節)を無失点で終え、西川は最後尾からチームを助けていた。

◆西川周作@中編につづく>>理解不能「?」になったミレッGKコーチの教え「ゴールは存在しない」


【profile】
西川周作(にしかわ・しゅうさく)
1986年6月18日生まれ、大分県宇佐市出身。2005年に大分トリニータU−18からトップチームに昇格し、高卒1年目から正GKとなる。クラブの財政危機により2010年にサンフレッチェ広島へ完全移籍。2012年、2013年とJ1リーグ優勝に貢献する。2014年から浦和レッズの一員となり、2022年7月10日の名古屋グランパス戦でJ1最多となる通算170試合の無失点記録を達成。日本代表として31試合出場。ポジション=GK。身長183cm、体重81kg。

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