コロナ対応でルール定まらぬJリーグ。川崎・鬼木監督「本当は勝って、いろいろと話せたらよかったんですが...」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

悔しさを吐露した鬼木監督

 唯一の不安要素は両SB。右の瀬古樹、左の橘田健人はともに経験こそあるものの、本職はボランチを主戦とする選手である。

「今日の試合に臨むにあたって、しっかりと自信を持ってピッチに立つところまではできたと思う」

 主将の谷口がそう語ったように、川崎は手負いの状況でありながらも、敵地で勝ち点3を得るために可能なかぎりの準備をしてきていた。

 ただ、やはり大量離脱の影響は否めなかった。開始早々の4分に先制されると、17分にも2点目を奪われてしまう。

「試合の入りで大きなミスをしてしまった。チームとして入り方を合わせられなかったのは非常に悔しいし、大きなミスをしてしまった」

 谷口が悔やんだように、試合巧者の王者らしくない立ち上がりが、この試合のすべてだった。とりわけ先制点は橘田のエリアを崩されただけに、不安要素が浮き彫りとなった格好だ。

 立ち上がりに力を注げなかったのは、交代枠が限られていたことが要因となったと考えられる。

 実質ふたりしか交代できない状況である以上、90分間のペース配分を考えれば、いきなりエンジン全開というわけにはなかなかならないだろう。受け身となったところを浦和にうまく突かれてしまった。そんなふたつの失点だった。

 2点のビハインドを負った川崎はようやくスイッチが入り、その後は多くの時間帯で相手を押し込んだ。しかし、早い段階からブロックを築いた浦和の対応を崩すことができず、終盤に一矢を悔いたものの、直後にさらに1点を失い、1−3の完敗に終わっている。

「早い時間での失点が響いたと思いますし、なかなかひっくり返すところまで持っていけなかった。こういう状況でも自分のところで、もっとできたんじゃないかと思いますし、力不足だと思っています」

 そう試合を振り返った鬼木達監督は、この試合に臨むにあたっての難しさも吐露している。

「本当は勝って、いろいろと話せたらよかったんですが」と前置きしたうえで、「ルールに沿ってやれば、こういう形で人が減ってでもやらないといけない状況になります。そこに関しては、覚悟を持ってやっていこうと。ただ、自分たちの2試合は(対戦相手に陽性者が複数出たことで)延期になっています。自分たちはGKをサブに多く入れたりする状況なのに、簡単に延期になるのかなという思いは当然みんなにありました。もしかしたら今日のゲームは意図的、意図的じゃないかは別にして、問題提起のゲームになるかもしれない」

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