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ピーター・ウタカが語る日本とJリーグ。「日本のサッカーファンは世界の最先端かもしれない」 (2ページ目)

  • 井川洋一●取材・文 text by Igawa Yoichi
  • photo by Getty Images

想像以上にすばらしい生活

 そんなふうにあくまで前向きに話すウタカが初めて日本にやってきたのは、2015年。母国ナイジェリアからベルギーやデンマーク、中国を経て、清水エスパルスに入団した。それまでに一度も訪れたことのなかった日本への移籍を決断した背景には、兄のジョン・ウタカ(元ナイジェリア代表FW)の助言もあったという。

「Jリーグがアジアで最高のリーグだというのは、もちろん僕も知っていたよ。だから、自分もそんなハイレベルなリーグで実力を試してみたかったんだ。

 それに兄のジョンは、ナイジェリア代表の一員として2002年のW杯で日本に来たことがあった。彼が僕に、『日本はすばらしい国だ。チャンスがあるなら、絶対に行くべきだ』と言ってくれてね。ジョンはW杯でプレーしたけど、Jリーグには縁がなかったから、その代わりに弟の僕に経験してもらいたかったんだと思う」

 来日する前から、「テクノロジーやインフラ、そしてフットボールも含め、日本ではすべてのクオリティが高いと聞いていた」とウタカは言う。その印象は実際に来てから、さらにポジティブなものに変わっていったという。

「日本の印象はいい意味で変わったよ。想像以上にすばらしい生活を送っている」と彼はにこやかに話す。

「とくに気に入っているのは、さまざまなライフスタイルを味わえるところ。しかもすべてがハイクオリティだ。たとえば、僕が今住んでいる京都では、寺社や仏閣といった日本の古い文化遺産を見たり感じたりできるけど、東京に行けば、高層ビルが立ち並ぶ世界的な大都市の生活を垣間見ることができる。また沖縄では、最高のリゾートを楽しめるよね。

 そして日本人は、僕がこれまでに触れ合ってきた人のなかでも最高の人々だ。他者を敬い、奢ることなく、礼儀正しい。自分のような外国人が困っていたら、すぐに助けてくれるしね。僕がまだ日本で暮らし始めたばかりの頃、駅の場所がわからなくて右往左往していたら、ひとりの女性が親切に僕の手を引いて、10分ほど一緒に歩いて駅まで連れていってくれたんだ。方角を教えてくれるだけでもよかったのに、そこまでしてくれたんだよ!

 いや本当に、日本のいいところを挙げ始めたらキリがない(笑)。治安、生活、環境、食事など、すべてがすばらしい。そんな素敵な国で暮らすことができて、僕は幸せだよ」

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