バルサ出身のFC東京スペイン人指揮官が語る「プロセス」に覚えた小さな違和感 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 アルベル監督は会見のなかで、昨シーズンまで率いたアルビレックス新潟が今シーズン、J2で首位に立っていることを喜んだうえで、「1年目はコンセプトを理解してもらうのに大変だったが、今では長いボールを蹴るとスタジアムで不満が起こる」と説明し、「だから東京も、今はベースを作っているプロセスだ」と、話を落とし込んだ。

 そこで覚えた小さな違和感の正体を探るとすれば......。

 アルベル監督が「Jリーグ生まれの監督」で、母国スペインでは監督として采配を振ったことがない点にあるだろう。また、バルセロナ時代から、あくまで育成畑の人である。そのため、「プロセス」という表現になって、ひとつひとつの試合に向けて戦術練度を高め、修正、改善をし、戦えるチームにする、という執念が見えない。哲学や理念はすばらしいが、現場の指揮官特有の「勝負の切実さ」があまり見えないのだ。

 もちろん、選手編成の責任もあるだろう。現在の所属選手のキャラクターで、アルベル監督が目指すサッカーを体現できるのか。スウォビィクも含めて、昨年までの長谷川健太監督が率いたチームに必要だった選手補強が多かったようにも思えるのだ。

 いずれにせよ首都のクラブ、FC東京は7位に浮上している。次戦は30日、アウェーのサンフレッチェ広島戦となる。

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