森保一監督の目にはどう映ったか。「サプライズ選出」に値する横浜F・マリノスの18歳の活躍

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 東アジアE-1選手権に臨む日本代表。森保一監督は「メンバー選考にサプライズはない」と言ったそうだが、本来なら今回は、誰を選ぶべきか大いに迷うべきだと思う。選考の対象となるのはすべて国内組だ。一部のベテランは除くということなので、選ばれるべき常連選手はごく僅か。指定席はまったく埋まっていない状態にある。意外な選手をサプライズ招集する余裕は、いつにも増してあるはずなのだ。

 実際、Jリーグを観戦していると、可能性を感じさせるフレッシュな好選手に数多く遭遇する。その率は年々増している。こちらの感覚が緩んでいるのか。日本人選手のレベルが実際に右肩上がりを示しているのか。前者である可能性はなきにしもあらずと、厳しめに見ているつもりだが、正解は後者ではないかと思う。海外組が増えても国内の人材は枯渇しない。Jリーグは一定の海外組予備軍で常に満たされた状態にある。

 Jリーグの首位を行く横浜F・マリノスで、期待の若手と言えば、U-21日本代表でキャプテンを務めた藤田譲瑠チマの名前が挙がる。海外組予備軍であり、E-1選手権に臨む日本代表に選ばれる可能性が高い選手とも言われている。

 だが、7月6日に行なわれたサンフレッチェ広島戦で、藤田はベンチスタートとなった。横浜FMには、4-2-3-1の守備的MFとしてプレー可能な選手は5人いる。最も出場機会の多い喜田拓也が故障中なので、現在は4人。今季ここまでの出場機会に基づく藤田の優先順位は、喜田、岩田智輝、渡辺皓太に次ぐ4番手になるが、この広島戦でスタメンを飾ったのは岩田と、5番手の山根陸だった。

サンフレッチェ広島戦にフル出場し勝利に貢献した山根陸(横浜F・マリノス)サンフレッチェ広島戦にフル出場し勝利に貢献した山根陸(横浜F・マリノス)この記事に関連する写真を見る 広島は横浜FM、鹿島アントラーズ、川崎フロンターレに次ぐ4位のチームで、最近8試合を6勝1分1敗の好成績で乗りきってきた。調子では2位鹿島、3位川崎をしのぐ存在で、首位を行く横浜FMとの一戦は、Jリーグの今後を占う意味でも重要な一戦と言えた。

 にもかかわらず、ケヴィン・マスカット監督は守備的MFに売り出し中の藤田ではなく、さらにマリノスユース出身の18歳、山根をピッチに送り込んだ。

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