森保一監督の目にはどう映ったか。「サプライズ選出」に値する横浜F・マリノスの18歳の活躍 (3ページ目)
藤田譲瑠チマとのコンビで試合を掌握
このように、いわゆるダブルボランチは、2人の組み合わせでチームとしてのバランスを調整することができる。奪う系のストッパータイプと、つなぐ系のゲームメーカータイプ。重い系と軽い系。攻撃的なタイプと守備的なタイプなど、さまざまな関係を築くことができる。
ワンボランチより変化をつけることができる。だから選手交代5人制のもとでは、4-3-3より4-2-3-1のほうが適しているように見えるのだ。
マスカット監督は後半24分、藤田を畠中槙之輔に代えて投入した。岩田を畠中の位置(CB)に下げ、藤田と山根でダブルボランチを組ませたのだ。20歳と18歳。J1で首位を走るチームの心臓部にしては若すぎる2人である。しかも相手は好調の広島だ。そして両者ともパッサータイプ同系である。不安要素はあったはずだが、マスカット監督は積極的に交代カードを切った。瞬間、拍手を送りたくなったが、実際のプレーを見るとその気持ちはさらに増した。2人がパス交換に及ぶと広島は沈黙した。ゲームを掌握され、手も足も出なくなった。
森保監督がサプライズはないと語ったのは、確かその試合の前日のことだったが、少なくとも筆者には、藤田と山根のコンビネーションはサプライズに値した。代表チームで見たいレベルにあった。現場で直に見た森保監督は、サプライズ発言を撤回する気にはならなかっただろうか。マスカット采配を見て、20歳の藤田はもちろん、18歳の山根を選出してみる余裕は生まれなかっただろうか。
いつ欧州組に転じても不思議ではない。もっと言えば、一夜にしてチャンピオンズリーガーになるかもしれない年代だ。代表監督の「選び遅れ」は、見る目が疑われる格好悪い事態だと、森保監督に忠告したくなるのだった。
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