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森保一監督の目にはどう映ったか。「サプライズ選出」に値する横浜F・マリノスの18歳の活躍 (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

ペドリを彷彿とさせるボール操作術

「先を見越して戦うことはまだできない。世界の中で日本が勝ち上がろうとした時、1戦1戦フルで戦いながら次に向かっていくことが現実的である」とは、東京五輪で特定の選手を使い詰めにした森保監督が大会後の会見で、「なぜローテーションをしなかったのか」と問われた際に発したコメントだが、マスカット監督は、この発想とは真逆のスタンスをとる。同じスタメンを2試合続けない、先を見越した戦いをする監督として知られる。

 それは横浜FMが首位を走る理由でもある。光るのは層の厚さだ。層が厚いからローテーションが可能になるのか。ローテーションをするから層が厚くなったのか。その答えはより計算できる藤田ではなく、若い山根をスタメン起用した采配に集約されている。

 山根の先発はこれが3試合目。交代出場を含めると8試合目の出場になる。その結果、山根はすっかり使える選手に成長した。この日、選手を視察するために横浜国際日産スタジアムを訪れていた森保監督に、何より学んでほしいマスカット監督の姿勢である。

 結果は3-0。スコア的には広島が横浜FMの軍門に下った格好だが、試合内容はほぼ互角だった。横浜FMが過去何戦かにおいて最も苦戦した試合だった。広島に勢いを感じた試合と言ってもいい。言い方を変えれば広島は、「にもかかわらず」大差で敗れた。確実に手を焼いた選手がいたからだった。

 山根にボールが渡ると場は落ち着いた。プレッシャーのきついピッチの真ん中に位置する守備的MFながら、山根はおそらくミスをひとつもしていないはずだ。広島が囲もうとしても慌てない安定感がある。密集に強いボール操作術を備えているのだ。森保ジャパンでいうならば守田英正タイプだが、褒めすぎを承知で言えばバルサのペドリだ。広い視野をベースにパスワークの起点になっていた。

 この日コンビを組んだもうひとりの守備的MFは、山根とはタイプの異なる岩田で、ダイナミックさを兼ね併せたCBも務めるオールラウンダーだ。監督から信頼されていることは、チームで最も長い出場時間に見てとれる。多少強引に言えば、遠藤航タイプだ。同じ守備的MFでも、山根と岩田はタイプの異なる関係にある。

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