ジェフ千葉はJ2降格後「オリジナル10」で唯一J1昇格を果たせておらず。今季こそ汚名返上か (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 とりわけ、最近6試合は3勝3分けの無敗という結果だけでなく、内容的にも安定してきた。直近の第22節大宮アルディージャ戦では、ボールを握って相手を押し込み、素早い切り替えでセカンドボールも次々に回収。攻勢に試合を進めることができていた。

 だからこそ、セットプレーのワンチャンスを相手に生かされ、1-1で引き分けたのはもったいなかったとも言えるが、大いに手応えを感じる試合内容だったことは間違いない。シーズン序盤は勝ったり負けたりの繰り返しだったが、ここに来て上位追撃の体勢は整い始めている。

 とはいえ、現在の千葉には主力選手の負傷が相次ぎ、チーム状態は万全とは言い難い。むしろ、台所事情は苦しくても不思議はないはずである。

 それにも関わらず、チームが上昇気配を漂わせるのは、若いタレントの台頭があればこそ。6戦無敗を継続するなかで、ラッキーボーイ的な活躍を見せているのが、19歳のFWブワニカ啓太である。

 修徳高から加入して2年目のブワニカは、ルーキーシーズンだった昨季、14試合出場1ゴールという上々の成績を残すと、2年目の今季はここまで9試合に出場し、早くも3つのゴールを記録。3得点はすべて6戦無敗の間に生まれたものだ。

 身長186cm、体重72kgの体はいかにも細く、パワーやスピードに特別秀でているわけではないが、ボールを扱う技術は柔らかく、最前線でも2列目でも、自身の特徴を発揮する。第20節ベガルタ仙台戦では、首位チーム(試合時点)を相手にハツラツとしたプレーを見せ、決勝点となる先制ゴールまで決めてみせた。

 本人は「たまたま自分の上に(味方が競り合って浮いた)ボールが来た」と笑っていたが、そうした運もまた、波に乗るには必要な要素。ノッてる19歳の存在が好調・千葉の原動力、と言ってもいいかもしれない。

 また、先述の大宮戦ではブワニカと2トップを組んだ20歳、FW櫻川ソロモンも、チームに勢いをもたらす有望株のひとりである。

 長身のブワニカをも楽々と上回る身長190cm、体重94kgの恵まれた体格は、ピッチ上で"映える"ものの、プロ1年目だった一昨季あたりは、その体躯を持て余し、鈍重な印象が否めなかった。

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