中村憲剛と佐藤寿人が日本代表のキャプテンを語る。「吉田麻也の背中を見て、受け継いでいってほしい」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by AFLO

佐藤 当然、代表でキャプテンを務めるためには、スタメンで出続けないといけないじゃないですか。一定のパフォーマンスを出し続けられたのは、さすがだなと思います。監督が代わっても、自分に何が求められているかを素早く理解して、プレーヤーとして変換できる。でもやっぱり、あの南アフリカW杯のタイミングでキャプテンマークを巻いたことで、選手としての物の見方が変わったと思いますね。

中村 最初のカメルーン戦で勝ったことが大きかったと思いますよ。日本代表のキャプテンとしてW杯で勝つという経験は、日本人では数人しかできていないわけで。当時は「束ねている」というイメージは本人にはなかったと思うけど、結果的にいい経験になって、今につながっているのかなと思います。

佐藤 マコ(長谷部)とは代表デビューが同じなんですよ。2006年のアメリカ戦ですね。その時は僕もマコも若かったので、チームのことを考える余裕はなかったんですけど、キャプテンマークを巻くなかで責任感が生まれてきたと思うし、プレーヤーとしての説得力も高めていったと思います。

中村 あらためてですけど、腕章の重さがもたらす責任感は、選手をものすごく成長させるんだなと感じますね。キャプテンとしての振る舞いを身につけることで、ぐんぐん伸びていった。

 細かいことを言うタイプじゃなく、練習を一生懸命やって、準備も怠らない。そして、鼓舞する時は鼓舞する。背中で引っ張っていく部分と、言葉で牽引していく部分の両方を兼ね備えていたキャプテンだと思います。

---- その長谷部選手からキャプテンマークを受け継いだのが吉田麻也選手(サンプドリア)ですが、今回のワールドカップ・アジア最終予選でのリーダーとしての働きは、おふたりにはどのように映りましたか?

中村 麻也に関しては五輪も含めて、表に立って話をする機会が相当増えましたよね。コロナ禍なのでなかなかメディア対応ができないなかで、麻也はチームの代表として、しっかりと考えて話をしていた印象です。それも、ハセの背中を見てきたことが大きいと思いますよ。いい形で継承されているなと感じます。

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