中村憲剛と佐藤寿人のキャプテン論。「あの人」の影響でクルマの中にペンと色紙を置くようになった (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki 佐々木麻里子●ヘア&メイク Hair & Make up by Sasaki Mariko

佐藤 同じチームでやった人は影響を受けますよね。僕はジェフに入った1年目(2000年)が中西永輔さんで、2年目が長谷部茂利(現・アビスパ福岡監督)さん。

 永輔さんは明るいキャラクターで、みんなを巻き込んでいくような感じ。長谷部さんは本当にロジカルで、大人の振る舞いでチームをまとめ上げていました。キャプテンと言っても、人によっていろんなタイプがあるんですよね。鬼木さんはどうでした?

中村 もちろん影響を受けた部分は大きかったですよ。ただ自分は小学校、高校の時と大学でもキャプテンをやっていたから、何となく自分のなかでキャプテン像というものはあったかもしれない。

佐藤 ポジションもありますよね。憲剛くんの場合は後ろと前をつなぐ役割だから全体をよく見るし、ボールもよく集まってくる。逆にFWは自分のことしか考えていないですからね(笑)。だから僕が広島でキャプテンをやるってなった時に、憲剛くんから「FWはキャプテンやらないほうがいいよ」って言われましたから。

中村 特にFWは負担がかかると個人的に思っていて。最後にゴールを決める役割の人がキャプテンをやると、本来の役割に支障が出る。(小林)悠もフロンターレでキャプテンになったばかりの頃は、かなり悩んでいたから。

佐藤 そうなんですよ。今までストライカーとして言っていた言葉が、立場が変わるとキャプテンの言葉になってしまうので、要求や言葉のチョイスも含めて躊躇してしまう部分はありましたね。

---- たしかにFWのキャプテンは少ないですよね。

中村 ゴン(中山雅史)さんとか、寿人とか、悠みたいにそこから突き抜けられればいいんですよ。点を取ってチームを勝たせることが自分のキャプテンとしての役割だ、というところまで持っていければ成立すると思います。

 チームがうまくいかないと、全体を見る立場にどうしても寄らざるを得なくなって、得点を取るという本来の役割からどうしても遠ざかってしまうんですよ。なので、突き抜けるところまで行くのは簡単じゃないし、なかなか難しいと感じていたから、あの時に寿人には言ったんだけど、突き抜けちゃったね(笑)。さすがです。

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