高校サッカーの「寮生活」が激変。洗濯は業者、1人部屋でプライベートも確保...選手はその充実ぶりで学校を選んでいる (3ページ目)
一人部屋がスタンダードになりつつある
寮と共に遠方の選手を受け入れてきた下宿も、現代に合わせて大きく変化をしている。ひと昔前は大家さんの自宅の一部を間借りするイメージが強かったが、最近は会社が運営し、管理人が常駐する学生会館と呼ばれるタイプの施設がスタンダードになっている。
代表的なのが、約1300の高校、大学と提携し、年間2万人もの生徒を受け入れる学生会館のドーミーだ。寮を自前で作ると寮監を配置したり、毎日、食事を提供する難しさなどがあるが、ドーミーの場合はすべてを任せられるのが利点である。
昨年度のインターハイ、選手権でベスト8進出を果たした東山高校(京都府)もドーミーと提携する高校の一つ。以前は学校近くに自前の寮を運営していたが、老朽化が進んだため、約4年前からドーミーが運営する学生寮を利用し始めた。きれいで管理が行き届いた寮の評判はよく、他部活も含めて定員となったため、サッカー部はこの春にできたばかりの新たな寮に移ることになったという。
東山の寮の場合、風呂とトイレがセパレートになった一人部屋。室内には電子レンジ、冷蔵庫、ドラム式の洗濯機、乾燥機といった生活必需品がついている。また、建物内には朝食や夕食を食べるためのきれいな共用スペースがあり、自炊する人用のキッチンも完備されている。無料で飲めるコーヒーメーカーが置かれているのもうれしいポイントだ。
東山高校の寮は、最近スタンダードになりつつあるという一人部屋だこの記事に関連する写真を見る「プライバシーを保てる一人部屋を求めている子どもは多い。我々も時代に合わせないといけない」と話すのは福重良一監督。コロナ禍の感染対策として共同生活が避けられる傾向が強まるなか、一人部屋は選手を預ける保護者にも喜ばれており、県外からの問い合わせが増えた。また、寮を新設する学校も一人部屋がスタンダードになりつつあるという。
人気スポーツであるサッカーに力を入れる高校が増え、県外の高校を進路として選ぶ選手は増えている。選んでもらうチームになるため、チーム実績、プレー環境だけでなく、日常生活にまでこだわるチームが増えるのも必然の流れかもしれない。
一方で施設が新しければ寮費が高くなるのも必然で、寮費が安い旧来の寮が持つ強みもある。自宅から通う高校も含め選択肢の幅が広がっているため、取捨選択が問われる時代と言えるだろう。
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