東京ヴェルディが開幕ダッシュ。15年ぶりJ1復帰の力は本当に備わっているのか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 加えて、20歳の山本をはじめとする、自前のアカデミー(育成組織)出身選手の活躍が2位躍進につながっていることも、東京Vの大きな魅力だ。

 山本と同じく20歳のMF石浦大雅や、21歳のMF森田晃樹らの成長株だけでなく、チーム得点王(4ゴール)の28歳、FW杉本竜士にしても、今季横浜FCからの移籍加入ながら、元をたどればアカデミー育ちの選手である。

 このところ、MF井上潮音(ヴィッセル神戸)、MF藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス)ら、東京Vのアカデミーで育った選手が"個人昇格"を果たすケースが続いていたが、卓越した育成力をそろそろクラブ自体のJ1昇格につなげたいところだ。

 そんな東京Vも、直近の熊本戦で連続無敗試合が8でストップ。しかも、スコアこそ2-3の惜敗だったが、相手のマンツーマンプレスに苦しみ、本来の特長を消されての敗戦だった。

 過去のJリーグを振り返ると、開幕から好調だったチームが、最初の黒星をきっかけに低迷するケースは珍しくない。

 前評判を覆し、ここまで快調に飛ばしてきた東京Vにとっては、だからこそ敗戦直後の次節、レノファ山口戦が非常に重要な意味を持っている。

 前線の中心的役割を担い、今季3ゴールを挙げているFW佐藤凌我は言う。

「リーグ戦は40試合以上あるので、こういう(熊本戦のような)試合も必ずあるが、これをどう生かすかが大事。しっかり反省して、連敗しないように。次は勝ち点3をとれるようにしたい」

 全42試合という長丁場のJ2においては、長く無敗を続けることより、むしろひとつの負けを引きずらないことのほうが大切だ。勢いに乗れば連勝もするが、負け始めたら歯止めが利かないのでは、J1復帰はおぼつかない。

 東京Vは、本当にJ1昇格に足る力を備えているのか。

 2008年以来となる、実に15シーズンぶりのJ1復帰を目指すJリーグ初代王者にとって、次戦は真の実力が試される最初のチェックポイントになりそうだ。

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