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横浜FMの好調を支える屋台骨・岩田智輝。守備のオールラウンダーは日本代表にも必要だ (2ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

群を抜くミスの少なさが魅力

 GK高丘陽平を除くフィールドプレーヤーでは、出場時間がチームで1位、2位の関係にある岩田と小池。ともに複数ポジションをこなす多機能型選手でもある。

 この鹿島戦では、守備的MFとして出場した岩田の活躍が目についた。立ち上がりから横浜FMのお株を奪うようなプレスをかけてきた鹿島に対し、岩田はど真ん中で構えるプレーヤーとして、ほぼノーミスで通した。あらゆる局面に顔を出し、潤滑油のような役割を果たしながら、横浜FM自慢のパスワークを支えた。鹿島のプレスが奏功しなかった一番の原因であり、勝利の立役者と言いたくなる所以だ。これまで出場した9戦で、CBとして先発を飾ったのが5試合。守備的MFとしてはこの鹿島戦が4試合目だった。

 岩田は試合中に戦術的交代で、それぞれの場所を入れ替わることもある。ふたつのポジションでほぼ均等にプレーしている印象だが、右のSBとしてもプレーできる。後方のポジションならどこでもこなせそうな器用さが魅力だ。

 CB兼守備的MFは、先述の三竿もそうであるように、それなりに存在する。谷口彰悟、山村和也、板倉滉、森重真人、かつての吉田麻也もそれに該当する。だが、小器用さが求められる兼SBとなると数はぐっと減る。冨安健洋ぐらいに限られる。

 岩田には、まさしくオールラウンダーとしての魅力がある。一般的にCBが守備的MFを任されれば、対敵動作、ボール奪取に優れた、どこか重々しいアンカー的なプレーになりがちだ。狭い局面でプレッシャーを浴びたとき、小回りがきかずアタフタする姿、パスワークの足かせになる姿が想像される。そうした負の要素が岩田にはない。

 ボール奪取力とパス能力を武器に守備的MFとして活躍してきた昨季までの三竿と比較しても、安定感、ミスの少なさという点で岩田が勝る。何より慌てたプレーがない。ボールを的確な方向に運ぶ力もある。方向性に間違いがないのだ。ボディバランスもよく、さらに言うならば、攻撃的なセンス、ゴールに向かう直進性もある。

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