「フロンターレは死んでいない」。中村憲剛たちが積み上げたクラブの風土なくして、その言葉は生まれなかった
川崎フロンターレ強化本部長に聞く「最強チームの作り方」@前編
昨季はJ1リーグ連覇を達成し、日本代表にも数多くの選手を輩出しているように、間違いなく川崎フロンターレは今の日本サッカー界を牽引する存在だろう。
5年間で6つのタイトルを獲得し、日本のリーディングクラブへと台頭したフロンターレは、どのような戦略でチームの強化を図っているのか。また、強豪になったからこそ近年起こっている、選手の海外流出をどのように捉えているのか。
2021年より強化本部長に就任した竹内弘明氏に話を聞いた。
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橘田健人など続々と若手が台頭してくるフロンターレこの記事に関連する写真を見る 竹内がフロンターレの強化部に着任したのは、クラブが悲願の初タイトルを獲得した2017年だった。
1995年に前身の富士通サッカー部に加入し、1年間ではあるがフロンターレの選手として在籍したこともある。1997年に現役を引退したあとは、富士通の人事部門で企業スポーツのマネジメントなどを担当してきた。
言わば「人事のエキスパート」である。
2021年に強化本部長を退いた庄子春男は、竹内を呼び戻した時から「後任を託したい」という狙いがあったのだろう。竹内は、今日のフロンターレを築き上げた庄子から感じたものをひとつ挙げるならば「空気感」だと言う。
「強化部というと、上から見ているようなイメージを持たれるかもしれませんが、そうではなく、同じ環境に立ち、チームの空気を感じることが大切だと思っています。当然、いい時もあれば、悪い時もある。その空気を感じ取り、監督含めて『落ち込んでいる場合じゃないぞ』という雰囲気を作り出す。
庄子さんは、監督や選手と話をする状況も含めて、声をかけるタイミングが本当に的確でした。私自身は庄子さんのようにカリスマ性があるわけではないので、なおさらその"空気感"というものを大事にしたいと思っています」
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