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福西崇史が選ぶJ1序盤戦のベストイレブン。FC東京・松木玖生には「正直驚いた」 (3ページ目)

  • 篠 幸彦●取材・文 text by Shino Yukihiko
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

FWは見ていて楽しい選手たち

 ヴィッセル神戸のアンドレス・イニエスタは説明の必要がない選手である。試合のコントロールの仕方、個人の技術、判断のよさ、ボールを持った時のアイデアなど、どれを取っても見ていて楽しいし、勉強になる。あらゆる面でお手本とするべき選手だ。

 今季は大迫勇也や武藤嘉紀など、前線のタレントとのコンビネーションがより高まるところに期待しているが、肝心のふたりがケガで離脱するなど、まだまだこれからのところがある。

 チーム自体はリーグ7試合で白星なしと結果が出ておらず、早々に監督が解任される事態になってしまったが、イニエスタのパフォーマンスはチーム成績とは関係なく、一挙手一投足見逃せない。あと何年プレーしてくれるのかわからないが、見れるだけ見て楽しんでおかなければ損だ。

 FWでは京都サンガF.C.で存在感のあるピーター・ウタカをはじめ、鹿島アントラーズの上田綺世や荒木遼太郎、浦和レッズの明本考浩など、期待の大きい選手が多い。そのなかで、清水エスパルスの鈴木唯人と柏レイソルの細谷真大のふたりを選んだ。想定外のプレーをしてくる面白さや、がむしゃらさが見てとれるプレーが、見ていて楽しい選手たちだ。

 清水の鈴木は典型的なストライカーという感じではないが、ゴールへ向かう気持ちの強い選手だ。動き出しもよく、点も取れるし、その得点パターンも多く持っていて、ここまで2得点と数字も残している。

 さらに中盤に下りてきてボールを受けてキープするところやターン、ボールを叩くところもレベルが上がってきている。今後どこでプレーするかで、プレーの幅も広がってくると思うが、いずれにしても見ていて面白いし、成長が楽しみな選手のひとりである。

 柏の細谷も鈴木と同じくゴールへの意識が強い選手。ペナルティーエリアでのポジショニングだったり、ドリブルで運んでいく意欲が見えるので、相手DFはつい釣られてしまう。柏のなかでとくに見ていて面白い選手だ。

 今季の柏はここまで好調なチームの一つだが、細谷の前線からの守備や攻撃時のスイッチとなる動き出しなど、彼の働きは大きな役割を担っている。鈴木にも言えることだが、相手の守備を崩せる細谷はチームにとって大きな存在だ。

 今季はここまで浦和や神戸など、力がありながら結果が出ていないクラブもあるが、全体的にチーム間の力はより拮抗してきていて、引き分けの試合が多いのも印象的だ。

 柏やサガン鳥栖は個で突出した選手はいないながら、チームとしてのまとまりで戦う色が出てきているし、浦和や神戸は代表ウィークの間に修正できれば成績は上向いてくるはずだ。

 例年では川崎の頭ひとつ抜けている感があったが、今季は序盤を見る限り、そこまで川崎の横綱相撲にはならない様相にはなっている。そんななかで個人はもちろん、クラブでもどこが今後躍進してくるのか楽しみだ。

◆【図】2022 J1全18チーム序盤戦フォーメーション

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