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浦和レッズが残した「価値ある結果」。ただ上昇へのきっかけになるかどうかはいまだ疑問 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

「決めきれない試合が続いていた。そこは自分にもすごく責任を感じていた。自分のゴールで勝ててホッとしている」

 自らの先制点が決勝ゴールとなり、ようやく勝ち点3を手にしたFW江坂任が、そんなことを話していたのも納得である。

 とはいえ、これをきっかけに嫌な流れも変わるはず、と太鼓判を押すには、まだまだ不安材料が少なくない。

 この日の湘南戦にしても、立ち上がりから中盤でのプレー強度で相手を圧倒し、16分には先制点を奪うことにも成功した。ゴールに至る崩しも鮮やかだった。しかし、前半なかばを過ぎると、次第に湘南にパスをつながれて自陣ゴール近くまで後退する機会が多くなり、その流れは後半に入っても大きく変わることがなかった。

 単に勝利することだけに関して言えば、危なげなかったにしても、浦和が望む試合展開で多くの時間を進められたかと言えば、疑問が残る内容だった。

 指揮官のコメントからも、揺れる心境が垣間見えた。

「決定機を作らせなかったところが大きかった」

 ロドリゲス監督は何度もそう繰り返し、無失点で終えたディフェンスを称える一方で、「ビルドアップはうまくいかないところがあった」と語り、「なかなかプレーが継続していかない。ボールを握りたいところでロストしたり、スローインから簡単にボールを失ってしまう」と、改善点を指摘している。

 後半55分のシーンが象徴的だ。

 中盤でうまくボールを奪った浦和は、すぐに縦へとボールを運び、敵陣に進入。一度左サイドでFW明本考浩がボールを落ちつかせたところに、ボランチのMF岩尾憲も加わって短くパスをつなぐ。さあ、ここからどうやって崩していこうか――。そんな雰囲気が漂い始めた直後だった。

 MF関根貴大からDF大畑歩夢への何でもないパスが逸れ、ボールはあっけなく湘南のスローインに。浦和は崩しにかかるどころか、何もしないうちにボールを失ってしまったのである。

 そのプレーを目の前で見ていたロドリゲス監督は、すぐに振り返ってベンチに歩み寄り、強い口調で何事か伝えた。5分後に"3枚代え"(関根→MF小泉佳穂、大畑→DF馬渡和彰、MF松崎快→MF大久保智明)が行なわれたのを見ると、選手交代の指示だったのだろう。

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