小野伸二のアイデアはどこから生まれるのか。「イニエスタを見ていると、インスピレーションを感じる」 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by (C)2022 CONSADOLE

【リフティングの大事さを伝える】

「トラップは、繰り返し、繰り返しですね。僕の場合は、リフティングをずっとやっているなかで、トラップとか、キックの精度とか、質だとか、強さとかを学んできたので。だから、子どもたちに教える機会があった時には、リフティングの大事さを伝えています。

 最近は、つま先だけでリフティングするような子が増えているんですね。細かくリフティングをするのも大事ですけどでも、しっかりとボールに当てるリフティングをやったほうがいい。僕はそう思っているので、子どもたちにはそのように伝えています」

 子どもたちへのアドバイスを聞いた流れで、せっかくなので今の選手たちにも金言を送っていただこう。3度のワールドカップを経験した代表OBとして、今の日本代表の戦いぶりをどう見ているのだろうか。

「初戦にホームで負けて厳しいことを言われたと思いますが、そのあとから日本代表としての責任を感じて、自覚を持ったプレーを続けた結果が今につながっていると思います。なので、最後までその意識を忘れずに、大事にしていってほしいですね」

 小野自身もアジア最終予選の過酷な戦いを経験している。

「簡単な試合はひとつもないと思います。日本はワールドカップにずっと出続けているので、出るのが当たり前だと思われている環境もプレッシャーにはなるでしょう。でも、それだけの能力を持った選手たちがたくさんいるわけですからね。

 予選を突破しなければ先は見えないですけど、最終的には世界で勝つことが目的だと思いますから、出て当たり前といういい意味での余裕を持って、アジア予選を勝ち抜いてほしいと思っています」

 先のことはあまり考えず、目の前の一瞬一瞬を大事にするスタンスだという。そんな小野が、札幌と生涯契約を結んだニュースが世間を賑わせた。

「北海道コンサドーレ札幌とともに、これからもいい方向性、いいチーム作りというものを、選手としてもそうですし、選手が終わったあとも一緒に築いていけるという意味では、すごくありがたい契約をしていただけました。僕自身、これだけ長くいさせてもらっているクラブですし、北海道に対しての愛情もたっぷりですから、このクラブにタイトルをもたらしたいということしか考えていません」

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