J1全順位予想。識者5人が推す優勝候補は3チーム。残留争いは半数以上が関わる激戦 (4ページ目)

  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

欧州第一線のヴァイラー監督を招聘し
ブラジル路線を変更した鹿島に未知なる魅力

小宮良之氏(スポーツライター)

1位 鹿島アントラーズ
2位 川崎フロンターレ
3位 ヴィッセル神戸
4位 浦和レッズ
5位 横浜F・マリノス
6位 名古屋グランパス
7位 サガン鳥栖
8位 サンフレッチェ広島
9位 北海道コンサドーレ札幌
10位 ガンバ大阪
11位 アビスパ福岡
12位 FC東京
13位 ジュビロ磐田
14位 清水エスパルス
15位 柏レイソル
16位 セレッソ大阪
17位 湘南ベルマーレ
18位 京都サンガ

 冒頭から言い訳がましいが、Jリーグの順位動向を占うのは難しい。とりわけ近年は、コロナ禍でプレシーズンの様子を網羅するのは不可能。移籍ウィンドーは4月1日までオープンしていて、キャンプ後もまだ人の入れ替えがあり得るし、さらに有力日本人選手の、夏の欧州移籍の流れは加速しそうな状況にあるからだ。

 ただ、チーム力は大きく変わらない。川崎の優位は動かず、鹿島、神戸、浦和、横浜、名古屋が上位を争う形だろう。ここに新監督の広島など未知数のクラブがどこまで食い込めるか。

 鹿島はブラジル路線を変更し、欧州第一線のスイス人監督レネ・ヴァイラー(アル・アハリ→)を招聘した。Jリーグ屈指のFW上田綺世、気鋭のアタッカー・荒木遼太郎、昨年のベストボランチと言えるディエゴ・ピトゥカ、代表復帰も叫ばれるサイドバックの安西幸輝を擁し、どこまで伝統を革新できるのか。新戦力として加わったFW鈴木優磨(シント・トロイデン→)、MF樋口雄太(鳥栖→)も期待。未知数であるがゆえの楽しみがあるチームだ。

 一方、東京、柏、C大阪はやや苦しむことになるかもしれない。たとえば、東京は「攻撃サッカー」に看板をつけ替えたが、補強の中身とズレがある。柏はネルシーニョ監督続投で勝負強さは継承できるが、ここ1、2年、選手の台頭がないのは懸念材料。C大阪はミゲル・アンヘル・ロティーナ監督の放出が尾を引き、もはや遺産も尽きた。

 台風の目になりそうなのが、鳥栖だ。深刻な財政難で多くの主力を引き抜かれ、川井健太監督が新たに率いるチームで、降格圏に沈むことも十分に考えられる。しかしJリーグ1、2を争うGK朴一圭がいることで踏みとどまり、活路を開くのではないか。また、今後10年以上日本代表の左サイドバックを任せられる逸材、中野伸哉もいる。

 補強した面々も魅力的。FW宮代大聖(川崎→)は新人王級の活躍も望める。伸び悩むMF西川潤(C大阪→)はこのままでは"かつての天才"に転落するが、心機一転できたら日本サッカーを担う素材だ。

 そして今季も見逃がせないのが、Jリーグで"世界"を感じられる選手である神戸のアンドレス・イニエスタ。彼こそがサッカー。そのプレーを見るためだけに、スタジアムへ足を運ぶのも一興だろう。

 その他、日本人で別次元を感じさせてくれるのは、浦和の酒井宏樹。右サイドをダイナミックに支配するプレーは、欧州のトップレベルのサイドバックに匹敵する。

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