槙野智章の目立ちたがり屋精神に衰えなし。「先頭に立って盛り上げたいし、笑いを取りたい。俺を見ろ」

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by (C)VISSEL KOBE

【逆にトレーニング量を増やした】

 2006年にサンフレッチェ広島でプロのキャリアをスタートさせてから16年、当時怖いもの知らずだった若武者も、今年で35歳となる。ベテランの立場となった今、サッカーに対してどのように向き合っているのだろうか。

「たしかにベテランという立ち位置になってきてはいますけど、衰えたとか、落ちたとか思われないようなプレーをしたいです。この年齢になって神戸から話があったという意味を、もう一度自分のなかで考えないといけないと思っているので、若い選手に負けないように、日々のトレーニングからしっかりとアピールしていければいいかなと思っています」

 すでに同年代の選手が引退することは珍しくはなく、契約満了となってJ2やJ3へとカテゴリーを下げるケースも少なくない。

「幸せですよね。同い年の選手がJ2、J3に行っているなかで、J1で優勝を争えるチームからオファーが来たわけですから。プロサッカー選手として少しでも長く、トップのクオリティのところでやれればと思っています」

 一方で、肉体的な衰えを感じざるを得なくなったのも事実である。

「やっぱり連戦をこなすなかで、リカバリーのスピードは遅くなったなと思います。だから、トレーニングの量を逆に増やすようにしましたし、試合から逆算して、トレーニングの負荷を上げるタイミングを変えるようにもしています。

 年齢が上がれば上がるほどトレーニングの量を落とす選手はいますけど、負荷を上げていかないと落ちていくスピードが速くなってしまうので、量を増やすことが重要なんですよ。そこは若い頃と比べて、変えたところではあります」

 もっとも、年齢を重ねるなかで取り組み方は変わっても、自分がヒーローになりたいという「目立ちたがり屋」精神には衰えは見られない。

「『チームが一番』だとキレイごとは言いますけど、やっぱり若手の時と変わらず『俺を見ろ』という気持ちはありますよ(笑)。お金を払ってでも見に来たいと思ってもらえるような選手になりたいですし、いつまでたっても先頭に立って盛り上げたいし、笑いを取りたいし、目立ちたいという想いは消えていません。

 ただ、もちろん試合のなかでは、今の状況では自分が前に出ないほうがいいとか、周りをサポートしないといけないとか、考えてプレーはしていますよ。ただ目立ちたかった若手時代と比べれば、そこは大人になりましたね。そういう意味では、年を取ったのかなと(笑)」

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