イニエスタが語る、ニッポンへの愛。いつかは日本代表監督「イニエスタ・ジャパン」を夢見て (3ページ目)

  • 宮崎俊哉●構成 text by Miyazaki Toshiya
  • photo by AFLO

【ジーコや三浦カズもリスペクト】

 イニエスタは入団してわずか2年、彼自身が予想していたよりもはるかに早く、「ヴィッセル神戸の歴史に残る素晴らしいことをしたい」という目標を達成する。天皇杯、FUJI XEROX SUPER CUPという、ふたつのビッグタイトルを獲得した。

 イニエスタは「勝者のメンタリティ」として、次のような点を説いている。

「自分の仕事に対して200%真剣になれば、どんな困難も克服できる」
「逆境を乗り越えるためには、自分が持っているものをすべて捧げる」
「リーダーシップとは、いかなる時でも自分の責任を果たそうとすること」
「観察と吸収。乾いたスポンジのように、たくさんのことを吸収し続けろ」
「少しずつ経験していけば、新しい状況でも適応できる」
「勝利することでミスは誤魔化せる。逆に、敗北はミスを拡大する」
「大切なのは問題を認める謙虚さ」......などなど。

 そして、イニエスタが最も強調しているのは、数々のリスペクトだ。

「私はあらゆることへのリスペクトを忘れたことはありません。出身地であるラ・マンチャでの路上サッカーへのリスペクト。スペインで最も才能ある少年たちが集まったラ・マシアへのリスペクト。大きな聖地、カンプ・ノウへのリスペクト。自分たちの国の代表が身につける赤いユニフォームへのリスペクト。私たち家族が到着した瞬間から街の仲間として迎え入れてくれた神戸のみなさんへのリスペクト。イニエスタ家にとってふたつ目の故郷である日本の人々へのリスペクト......」

 優勝した天皇杯の決勝で対戦した相手、鹿島アントラーズに対してもだ。その歴史を築いたジーコについて調べ、「彼が見せた伝説のすばらしいヒールボレーに匹敵するゴールなどありえない」と最大のリスペクトを贈っている。

 また、日本サッカー界のレジェンドであり、憧れの『キャプテン翼』の作者・高橋陽一氏に影響を与えた"カズ"三浦知良選手へのリスペクトも忘れない。

「今もピッチに立ち続ける彼から、世界中の多くの選手が刺激を受けています。サッカーへの彼の情熱、取り組みを決して忘れることなく、彼からまだまだ多くのことを学ばなければなりません」

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