永木亮太、7年ぶりのベルマーレ復帰。王者アントラーズとレジェンド小笠原満男から得た大きな財産 (4ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • photo by (C)SHONAN BELLMARE

【動けるうちに戻りたい】

「その時は、自分としては期限付き移籍ではなく、移籍するならばシーズンの最初からだと思ってお断りしたんです。それよりもアントラーズで試合に出たい、アントラーズでもう一度、頑張りたいという気持ちが強かったので。

 そこからシーズンが終わり、またベルマーレからオファーをもらった時には、自分の考え方も少し変わっていました。早いタイミングでオファーをいただいたこともあって考える時間もあったこと、ベルマーレが熱い思いを持って自分に声をかけてくれていたこともありました」

 シーズンが終わり、再会した坂本SDからかけてもらった言葉は、まさに自分自身が感じていることでもあった。

「坂本さんと面と向かって話した時に、自分のプレーを見て、まだまだお前はできると思っていると言ってくれたんです。同時にアントラーズで得た経験を、若い選手たちが多いベルマーレに伝えてほしいと。

 昨季のベルマーレは勝ちきれない試合が多く、そうした試合を勝ちに持っていけるプレーや声がけをしてほしいと言ってもらいました。自分自身も33歳になり、そうした役割を担う年齢になってきているとは思っていたので、クラブが求めることと自分の思いが合致したことが決め手になりました」

 出場機会を得られないなかでも失っていなかったのは、プレーに対する自信だった。

「動けるうちに戻りたい」

 プレーで見せ、背中で引っ張れるうちに湘南に戻りたい。だから、永木は決断した。

「動けない年齢になってからベルマーレに戻るのは、自分としては嫌だったんです。アントラーズに残るという選択肢もありましたが、動けるうちに戻りたいという気持ちが強かったので、ベルマーレでプレーすることを選びました」

 そこには冒頭で語ってくれたように、経験を積み、かつて在籍していた時とはひと回りもふた回りも大きくなっているという確固たる自信がみなぎっている。

(後編につづく)

【profile】
永木亮太(ながき・りょうた)
1988年6月4日生まれ、神奈川県横浜市出身。中学・高校の6年間は川崎フロンターレの下部組織に在籍。中央大学に進学したのち、2011年に湘南ベルマーレに正式入団した。1年目から主力として活躍し、2013年からキャプテンに就任。2016年に鹿島アントラーズに移籍し、同年には日本代表デビューも果たす。今シーズン7年ぶりに湘南に復帰。ポジション=MF。身長175cm、体重67kg。

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