高川学園が「必殺技」の炸裂などで4強へ。「トルメンタ」などセットプレーだけではない強さの理由 (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 高橋 学●撮影 photo by Takahashi Manabu

 高川学園を率いる江本孝監督も「選手のアイデアを尊重している」と言い、「セットプレーのことは、私はよくわからない」と苦笑しながら、こんなことを話している。

「選手たちが自分たちで考えてやっているので、好きなことをしなさいと言っている。自分たちの考えで点をとることが成長だと思う。セットプレーでそれを発揮してくれたのはよかった」

 文字どおり、嵐を巻き起こしている高川学園が接戦をものにし続け、ついにたどり着いたベスト4。高川学園にとっては3度目の準決勝挑戦となるが、過去2度はいずれも0-1で敗れ、勝利できていないばかりか、1点も奪えていない。

 1度目は第84回大会(2005年度)。当時、チームを率いていた白井三津雄監督が「国立の雰囲気に浮き足立っていた」と振り返った試合は、力を出しきれないまま敗れ去った。

 2度目は第86回大会(2007年度)。多々良学園から校名が変わったばかりの高川学園は、またしても敗れはしたが、「一昨年は周りが見えていなかったが、今日は楽しかった」と白井監督。「大変なこともあったが、多々良の魂と精神は引き継いで1年間やってきた」という指揮官は、「我々はプロの指導者ではないので、人を育てることが使命。選手が信頼してついてきてくれたことがベスト4の要因」だと話していた。

 あれから14年。強く育った高川学園の選手たちは、自らが考え、プレーを選択することで3度目の国立に戻ってきた。今大会のラッキーボーイ、西澤は言う。

「ベスト4進出が決まってうれしい気持ちでいっぱいだが、ここが目指しているところではない。あとふたつ勝って、優勝するという気持ちしかない。(過去に高川学園が準決勝で)誰も奪ったことのないゴールを自分が奪えたらいい。高川としても、勝利をひとつずつつかみたい」

 新装なった国立で行なわれる初めての高校選手権。高川学園の選手たちは、大きな嵐で新たな歴史を刻もうとしている。

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