高川学園が「必殺技」の炸裂などで4強へ。「トルメンタ」などセットプレーだけではない強さの理由
高川学園が"嵐"を巻き起こしている。
第100回全国高校サッカー選手権大会準々決勝。高川学園は桐光学園を1-0で下し、準決勝へと駒を進めた。高川学園にとっては旧校名の多々良学園時代も含め、14年ぶり3度目のベスト4進出である。
今大会の高川学園の勝ち上がりを振り返ると、際立っているのは接戦をものにする粘り強さだ。1試合を通して主導権を握り続けることはできなくとも、どこかで自分たちの時間を作り出し、そこでのチャンスを確実に仕留めてきた。
1回戦から準々決勝までの4試合のうち、実に3試合が1点差の勝利。唯一2点差がついた1回戦(vs星稜4-2)にしても、2度のリードを追いつかれ、2-2で迎えた試合終了直前に2点を勝ち越しての劇的勝利だった。
さらに言えば、2回戦(vs岡山学芸館2-1)を除く3試合で、シュート数とCK数で相手に上回られていることも、高川学園が際どい試合をものにしてきた様子を裏づける。
そんな高川学園の勝負強さを支えてきたのが、セットプレーである。
今大会の高川学園は4試合で8ゴールを決めているが、そのうち半分がセットプレー絡みで生まれたものだ。高川学園がいかに効率よく得点を重ねているかがうかがえる。
しかしながら、拮抗した試合でセットプレーが勝負を分けることは、サッカーの世界ではよくあること。特段、高川学園が珍しいわけではない。
にもかかわらず、今大会で"高川学園=セットプレー"のイメージが定着しているのは、そこでの多彩なアイデアが、見る者をワクワクさせているからだろう。
発端は1回戦の先制ゴールだった。
高川学園は前半8分、右サイドのペナルティーエリア脇でFKを得た。すると、ファーサイドで5人の選手が手をつないで輪を作り、グルグルと回転。その直後、助走に入ったキッカーの動きに合わせ、5人がつないだ手を切って散らばると、相手選手はマークにつききれず、輪のなかにいたひとり、MF林晴己がきれいにヘディングシュートを叩き込んだ。
複数の選手が輪を作り、グルグルと回る様は、「かごめかごめ」か「マイムマイム」か。その動きからイメージするものは年代によっても違うのかもしれないが、高川学園サッカー部の公式SNSによれば、その名は「トルメンタ」。スペイン語で「嵐」を意味するセットプレーは、たちまち大きな注目を集めることとなった。
「高校生らしいアイデアのあるセットプレー。ユーモアがある」とは、準々決勝で敗れた桐光学園・鈴木勝大監督の弁だ。
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