2022.01.03

くじ引きでメンバー決定から「俺がやる」に変貌。青森山田から1点を奪った阪南大高に見る今時の高校サッカーのリアル

  • 森田将義●取材・文 text by Morita Masayoshi
  • 松岡健三郎●撮影 photo by Matsuoka Kenzaburo

第100回全国高校サッカー選手権特集

【青森山田を上回るシュート数】

 惜しくも3回戦で涙を飲んだが、記念すべき100回目の選手権で阪南大高(大阪府)が見せた戦いぶりは、多くの人の印象に残ったのは間違いない。

今大会7ゴールと大暴れした、阪南大高の鈴木章斗今大会7ゴールと大暴れした、阪南大高の鈴木章斗 この記事に関連する写真を見る  1回戦で丸岡(福井県)を3-0で下し、選手権初勝利を奪うと、続く2回戦の奈良育英(奈良県)戦では8-0と圧勝。3回戦では優勝候補の本命と呼ばれる青森山田(青森山田)に3点を先行されながらも、1点を返した。

 2021年度に、高校年代最高峰のプレミアリーグEASTとインターハイの2冠を達成した青森山田と、張り合えるチームはほとんどいない。失点以前にシュートを打たせないことを徹底する絶対王者相手に、実は1本もシュートを打てないまま試合を終えるチームも珍しくない。

 そのなか、阪南大高は青森山田を上回る9本のシュートを放ったのも評価に値する点と言えるだろう。6年ぶり2度目の出場で確かな爪痕を残したが、濱田豪監督にとっては悔いが残る結果だったのは間違いない。それだけ今年のチームにかける想いは強かった。

 濱田監督は筑波大学在学中に指導の楽しみに気づき、卒業後の1999年にたまたま教員募集していた阪南大高へと赴任した。前任者から引き継ぎ、1年目から指揮官となったが、「強くするなんて無理だと思っていた」と振り返る。

 実際、当初は大阪府の大会で3回戦まで進むのが精いっぱいだったが、次第に勝利への欲望が高まり、2008年には学校に頭を下げて、校内の強化指定クラブとなった。その初年度に入学してきたのが、チーム初のJリーガーとなったFW河田篤秀(現・大宮アルディージャ)だ。

 そこからの部の発展は目覚ましい。2013年にインターハイ初出場を果たすと、2015年には選手権初出場も果たした。2017、18年はプレミアリーグWESTでも戦い、名実ともに強豪の仲間入り。

 着実に成果を挙げる一方、濱田監督がもどかしさを感じていたのも事実だった。手応えのある年に全国大会に行けていないためだ。

 選手権初出場の2015年は下級生主体のチームで、どちらかと言えば本命視していたのは翌年だったが、2016年は予選決勝で敗れている。2度目の勝負の年は、2019年。各ポジションに実力者が揃い、インターハイでも3回戦まで進んだが、選手権はまたもや予選決勝で涙を飲んだ。