2022.01.03

歴代最強の大津VSタレント軍団の前橋育英。高校サッカー選手権屈指の好カード の見どころは?

  • 松尾祐希●取材・文 text by Matsuo Yuki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

第100回全国高校サッカー選手権特集

【攻守に隙がない大津】

 打倒・青森山田――。過去3年で優勝1回、準優勝2回。近年高校サッカー界の"横綱"と称されているチームを倒すべく、どのチームも全力で立ち向かってきた。それでも、今季の青森山田は夏のインターハイを制し、1年を通じて行なわれるプレミアリーグEASTも制覇。向かうところ敵なしの状態で最後の高校サッカー選手権を迎え、順当にベスト8まで勝ち上がってきた。

高校サッカー選手権準々決勝好カードのキーマン。大津の森田大智(左)と前橋育英の笠柳翼(右)高校サッカー選手権準々決勝好カードのキーマン。大津の森田大智(左)と前橋育英の笠柳翼(右) この記事に関連する写真を見る  では、どのチームが青森山田を倒すのか。そのライバル候補と目される強豪校同士の対戦が、準々決勝で実現する。1月4日にフクダ電子アリーナで行なわれる大津(熊本県)と前橋育英(群馬県)の一戦だ。

 プレミアリーグWESTのほうで優勝争いを演じた大津は、歴代最強と言っても過言ではないほどの力を持つ。卒業後にプロ入りするタレントはいないが、攻守に隙がない。U-18日本代表候補のGK佐藤瑠星、センターバック(CB)寺岡潤一郎を軸に手堅い守りを見せ、無失点で終えた県予選に続いて今大会も3試合でわずかに1失点。最終ラインは高さに恵まれていないが、球際で強さを見せており、簡単には崩れない。

 そして、中盤の底に構える主将のMF森田大智、薬師田澪は豊富な運動量でこぼれ球を回収し、守備から攻撃に移る際のキーマンとなる。ボールを拾った森田と薬師田が素早く攻守を切り替え、パスを左右に展開。サイドアタッカーの田原瑠衣と一村聖連が自由な発想で仕掛けられるのも、この両雄が中盤に君臨しているからだ。

 そこから局面を打開し、ゴール前には機動力に長けた川口敦史と191cmの高さを持つ小林俊瑛が構える。彼らが織り成す攻撃は今大会屈指の破壊力だ。

 ただ、これまでの大津は期待された年に限ってまさかの敗戦を喫する場合も少なくない。ここ一番での脆さが日本一を勝ち取れていない要因だった。それでも、今年はそうした勝負弱さを感じさせない。

 その理由は、ありとあらゆるスタイルで戦える点にある。プレミアリーグでも相手に応じて、守備に比重を置く戦い方と攻撃的なスタイルを使い分け、勝ち点を重ねてきた。その結果、チームは逞しくなり、最終盤まで優勝争いを展開。惜しくも4位に終わったが、Jクラブの育成組織と互角にやり合って培った試合運びは他の追随を許さない。

 また、今年はセットプレーから得点が奪えるのも強み。FKとCKのキッカーを務める岩本昌大郎はロングスローの使い手でもあり、ここぞという場面ではリスタートからの得点も期待できる。地上戦、空中戦、セットプレーとあらゆるパターンで相手ゴールをこじ開けられる点も含め、やはり大津史上最強のチームと言ってもいいだろう。