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「本当の意味で力がない」鹿島アントラーズの厳しい現状。三竿健斗主将が語った「変わらなくてはいけない」こととは? (4ページ目)

  • 寺野典子●文 text by Terano Noriko
  • Photo by J.LEAGUE/J.LEAGUE via Getty Images

 ザーゴ体制時から積極的に起用された若い選手たちを相馬監督もまたピッチへ送り出した。町田浩樹、沖悠哉、関川郁万、上田綺世、荒木遼太郎、常本佳吾と20代前半の選手がチームの軸を形成し、経験を積んでいる。

「現状を変えられるのは僕ら選手。サポーターの想いを体現できるのも僕ら選手」

 リーグタイトルの可能性が遠のくなかで、いら立ちを募らせたサポーターについて訊かれた上田綺世はそんなふうに語っている。

「悔しかったのと同時に申し訳なく思った」

 10月27日天皇杯準々決勝で川崎に敗れた直後。ゴール裏のサポーターに挨拶した直後に流れた涙の理由を、荒木はそう語っている。

 長く鹿島を取材してきたが、加入数年目の若手がこんなにも大きな責任を担っているのかと感じた出来事だ。日本のサッカー選手にとっても、ヨーロッパでプレーすることが身近になり、「ヨーロッパ」という目標を持つ子どもたちも増えた。手軽に欧州のサッカーに触れられるのだから当然だろう。それでもピークと言われる時間も選手寿命も長くなるわけではない。成長のスピードを上げようともがいていくしかない。だから、若い彼らが大人びて見えるのかもしれない。

「個人が成長して、一人で試合を決めたり、一人ひとりがチームを勝たせられるようにならなくちゃいけません。そして、チームとして変わらなくてはいけないと思います。球際や切り替え、声を出すなど、サッカーの初歩的なことを追及していても、タイトルを獲り続けるチームには僕はなれないと僕は思います。僕らを見たとき相手が恐れるようなゲームを支配できるようなそういうサッカーをするチームにならなければ、また同じ悔しい想いをするだけでしょう」

 11月27日ホーム最終戦で、キャプテンの三竿健斗は「変えるべきもの」として、胸のうちを静かに語った。

「30周年だから、いち早く監督交代に踏み切った」

 そんな声を聞いたことがある。果たしてそうだったのか? もちろんそんな想いもあったのは確かだろう。けれど、アニバーサリー・イヤーでなくとも、勝利のために舵を切る必要はある。たとえ、大きな変革を掲げ、その象徴的な存在として招いた監督であったとしても、だ。

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