「本当の意味で力がない」鹿島アントラーズの厳しい現状。三竿健斗主将が語った「変わらなくてはいけない」こととは? (3ページ目)
ラングニックはチームを勝たせるだけでなく、選手を育て、指揮官を育てることにも注力している。ブンデスリーグだけでなく、欧州チャンピオンズリーグで戦うドイツ人監督は多く、誰しもがラングニックの影響を受けているとも言いえる。若い指導者を見つけてチャンスを与え育てるのも彼の流儀だった。
レッドブルで学び、レッドブル・ブラジルで指揮を執っていた。ザーゴの名前が鹿島の監督候補のリストに挙がった。
ザーゴは何度も「ポゼッションサッカー」という言葉を口にし、彼が掲げた旗は「ポゼッション」に染められていく。ゲームの主導権を握るはずが、ボールを保持するうちに敗戦してしまう。勝ちきれない......そんな印象が残った。
「ポゼッションではなく、レッドブルのメソッドで主導権を握るサッカーを目指したがうまくいかなかった。チームの技術、クオリティが足りなかった」と鈴木は振り返る。
相馬監督もザーゴ時代のものを継続しながら、自分の色を出そうと試みた。攻守の速い切り替えや守備組織の再構築を図り、1試合平均得点は1.73ゴール。失点は0.8点とザーゴ体制よりも良い結果を手にしている。
2点差以上をつけられての敗戦は、ザーゴ時代の第1節の対清水戦(1-3)と第28節対福岡戦(0-3)の2試合しかない。
逆に1点差での敗戦はシーズンを通して9試合。ここで勝ち点を落としてしまったことが順位に響いたとも考えられる。同時に下位7チームを相手に8勝3分3敗というのも痛かった。
3位ヴィッセル神戸との勝ち点差は4ポイントであることを考えても、10月2日創設30周年マッチでもあったホームでの対横浜FC戦の敗戦や大分戦での2引き分けなど、落とした勝ち点の重さを感じてしまう。
「タイトルを目指しながら、優勝した川崎フロンターレと勝ち点差23ポイントという事実が大きい。下位のチームに勝ちきれないというのは本当の意味で力がない」(鈴木)
1点差で勝利したのは10試合。うちウノゼロ(1-0)は6試合だ。
鹿島らしい戦い方と言われるが、ウノゼロを美学と捉えるのは、相手や試合内容によるところが大きい。格上の相手や猛攻を凌いでということであれば、美しさはあるだろうが、自陣ゴールを固めた相手に攻めあぐねてのウノゼロではどこか消化不良気味でもある。
ただ、昨季は年間勝ち点59ポイント(優勝した川崎は83ポイント)だったことを思えば、今季69ポイント(川崎は92ポイント)と重ねられたのは、この1点差ゲームを勝てたからだろう。
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