「遠藤保仁がいなければ、このサッカーはできなかった」。ジュビロ磐田がJ1昇格を果たした3つの理由 (3ページ目)

  • 望月文夫●文 text by Mochizuki Fumio
  • photo by AFLO

【ゴール量産FWルキアンの献身】

 得点ランキングでトップを走るブラジル人FWルキアンの存在感は、昇格まで右肩上がりで増している。昇格を決めた水戸戦まで22得点。2015年の昇格に貢献した元イングランド代表FWジェイ(現:コンサドーレ・札幌)のシーズン20得点をすでに超えている。

加入3年目を迎え、J1だった2019年からチームのエースとしてプレーしてきた。しかし途中加入だった1年目は、13試合に出場しわずか1得点。最前線のトップでプレーしたが、やや下がり目や両サイドライン近くに位置することも多く、いざ味方が中盤でボールを奪っても「前線に受ける選手がいない」と、チームメイトからの信頼度を勝ち取るまでには至らなかった。

 ルキアンにすれば「前線にボールが来ないから、下がってもらいに行った」とチームに貢献したつもりが、逆に周囲とかみ合わない部分を露呈し、それがお互いのストレスになっていたのだ。

 徐々に好転したのは、J2が舞台となった昨年だ。中盤が厚くなったことに加え、ルキアン自身も高い位置を保つ時間を長く保ち、スムーズな流れからゴール数を増やした。ところがシーズン終盤には、頸椎(けいつい)椎間板ヘルニアを患い手術。チーム最多の10得点を決めたエースの離脱は昇格にも響いた。

 そこから復帰した今季は、あまり貢献できなった昨季までの悔しさを晴らす思いでスタートを切った。自身が中心となって、試合前の円陣の中では「優勝、優勝」と仲間たちを鼓舞するのが恒例となった。

「今季の目標は明確で、一番は昇格すること。これまでと思いは同じだが、1試合1試合を決勝戦のつもりで臨んでいる。その昇格への思いが、目の前の試合に勝たなければいけないとなり、ならば勝つためゴールを決めなければならないとなる。その思いがいい結果を生むと信じて戦ってきた」(ルキアン)

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