2021.11.01

名古屋グランパス・稲垣祥がセレッソ大阪にトドメの一撃。抜きん出たゴール嗅覚で今季はエース級の活躍

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

「特別シュートを打とうとか、ゴールに絡んでいこう、というのはないんですよね。たまたまコースが空いて、足が振れてゴールにつながっているというだけで、得点を意識しているわけではないんですよ」

 今季、開幕からゴールを量産し、2・3月の月間MVPに輝いた稲垣祥に話を聞くと、そんな答えが返ってきた。

優勝を決定づける豪快ボレーを放った稲垣祥優勝を決定づける豪快ボレーを放った稲垣祥 この記事に関連する写真を見る  基本的には守りの選手である。驚異的な走力と激しく寄せる守備でボール奪取を連発するダイナモは、チームにひとりいれば助かる黒子的な存在である。ところが今季は印象的なミドルシュートを次々に叩き込み、勝利を決するパフォーマンスを見せつけてきた。

 3月には、サンフレッチェ広島時代に師事した森保一監督率いる日本代表に招集されると、モンゴル戦で代表デビューを果たし、いきなり2ゴールを奪う離れ業もやってのけている。

 突如の覚醒、というわけではない。広島時代にもシュート力には定評があったし、さかのぼればプロデビューを飾ったヴァンフォーレ甲府でもコンスタントにゴールを決めている。

 それでも今季のリーグ戦では、ここまでチームのトップスコアラーとなる8ゴールを記録し、ルヴァンカップでも準決勝で窮地のチームを救う"決勝ゴール"を奪うなど、エース級の活躍を示しているのだから、驚きの変化と言っても差し支えない。

「これまでにいろんなシュートを打って、数多く外して、その経験から少しずつ学びながら、精度も上がってきたと思います。チームもカウンターが武器で、自分の走力が生きている。いるべきポジションにフリーで入れることが、ゴールが生まれる要因だと思います」

 その言葉どおりに、稲垣は"いるべきポジション"に誰よりも早く走った。

 セレッソ大阪とのルヴァンカップ決勝は、前田直輝のゴールで先制するも、その後は相手の猛攻の前に防戦一方の展開を余儀なくされた。1点でも奪われればそのまま崩れ落ちてしまう可能性もあった。しかし、わずかな隙を逃さずゴール前に走り、シュヴィルツォクのシュートのこぼれ球を迷うことなく右足で叩きつけた。