「本当にドキドキの戦い」を制した名古屋グランパス。3大タイトルコンプリートで真のビッグクラブとなれるか (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 名古屋、悲願の初優勝。その伏線となったのはわずか3日前、天皇杯準々決勝で両チームが対戦した試合だった。

 結果は3-0でC大阪が勝利。しかも、3日後のルヴァンカップ決勝に備え、主力のほとんどを休ませたC大阪に対し、名古屋はほぼベストメンバー。その分、負けたショックは大きかった。

 あまりに不甲斐ない内容に、フィッカデンティ監督は試合後、「『お前たちの力は、こんなものじゃない!』と強い言葉も使って駆り立てた」。

「もう一度、自分たちらしい試合をしようと思った」(中谷)

 苦杯をなめた選手たちには、思わぬ惨敗が自分たちを見つめ直すきっかけとなったと、中谷は明かす。

 そして迎えた、ルヴァンカップ決勝。まだ満員とはいかないながらも、1万7000人以上が詰めかけた埼玉スタジアムの雰囲気に、「そんなこと(天皇杯での敗戦)は関係ないくらいフォーカスできた。絶対(タイトルを)獲るんだという気持ちが強かった」(中谷)。

「面白味には欠けたと思うが、自分たちが築き上げてきた戦いができたかなと思う」

 キャプテンの重責を果たした中谷は、そう言って胸を張った。

 だが、ひとしきり喜びを爆発させたあと、冷静に先を見据えてこう続けた。

「この味をもう一度味わいたい」

 Jリーグ誕生後に、J1、天皇杯、ルヴァンカップをすべて手にしたクラブは、名古屋が史上9クラブ目。しかし、名古屋は1995年に天皇杯を制覇して以来、2010年のJ1優勝を経て、実に26年を要しての3大タイトルコンプリートだった。初タイトル獲得から三冠をそろえるまでに20年以上も要したのは、9クラブのなかで、名古屋だけだ。

 長らくタイトルから遠ざかってはいたが、ようやく3つすべてがそろった今、名古屋に求められるのは常勝だろう。

「これを機に名古屋が強くなるようにしたい。クラブ規模的にもタイトルを獲らないといけない」(中谷)

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