長友佑都が見せた「日本」への適応力。欧州からJリーグ復帰組の明暗
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ヨーロッパの有力リーグから戻ってきた「欧州帰国組」は、日本人とはいえ、助っ人外国人選手に近い存在だろう。いわゆるスター選手でもあり、平均的なプレーでは及第点を与えられない。それは本人にとってストレスでもあるだろうが、そんなストレスを感じさせず、"日本"のサッカーに適応しなければならないのだ。
そんな「欧州帰国組」の現状査定は、今回の4人では明暗が分かれた。
〇長友佑都(マルセイユ/フランス→FC東京)
横浜FC戦で、背番号50は11年ぶりの復帰戦を戦った。左サイドバックに入った長友は堅実な守備に終始した。見せ場と言えるようなプレーは乏しかったが、声を張り上げ、味方を鼓舞し、好プレーに惜しみなく拍手し、熱気を作っていた。
2008年から4シーズン所属したFC東京に復帰した長友佑都この記事に関連する写真を見る「ひとりの熱を持った選手のおかげで、ここまで変わるんだなと。チームとして根本のところで熱い気持ちが足りず、安定して力を出しきれていなかったところに、彼がトリガー(引き金)になってくれました。戦う気持ちで周りを奮い立たせ、劣勢も跳ね返すというか......」
FC東京の長谷川健太監督が説明したように、太陽のような存在感だった。
長友はインテルでチャンピオンズリーグのベスト8、コッパ・イタリア優勝、ガラタサライでトルコリーグ連覇を経験。3度のワールドカップ出場を含め、トップレベルでのプレーを続けてきた。昨シーズンもマルセイユで定位置をつかみ、年齢的衰えを見せていない。
そんな経験が味方の戦闘力を高め、プレーに集中させるのだろう。
試合ごとに周囲との連係も高まりつつある。代表戦による中断前の川崎フロンターレ戦は、1-0で敗れたものの、田川亨介に送った左サイドからのクロスの精度は抜群だった。アダイウトン、高萩洋次郎とも波長が合ってきて、ワンツーからディエゴ・オリヴェイラに入れたパスは"世界"を感じさせた。
チーム自体は不安定な状況にあり、まだまだすり合わせは必要だろうが、今後に期待が持てるスタートとなった。
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