ドイツやスペインと同様、川崎フロンターレの栄華は終わりを告げてしまうのか (2ページ目)
言い換えれば、それほどまでに強いチームは、計画的に育成・強化をしたからといって作れるような代物ではないのだろう。偶発的に(しかも、まとまって)出現する才能に支えられることでしか生まれないものなのかもしれない。
さて、前置きが長くなったが、翻(ひるがえ)ってJリーグである。
今季J1では開幕直後から川崎フロンターレが圧倒的な強さを見せつけ、独走を続けてきた。過去4シーズンで3度のJ1優勝を果たしている川崎は、通算4度目の優勝にして、2度目の連覇に大きく近づいている。
とはいえ、そんな川崎の強さに陰りが見えているのも確かである。
今季の夏場以降の戦いぶりを見ると、ルヴァンカップは準々決勝で、AFCチャンピオンズリーグは決勝トーナメント1回戦で、いずれも敗退。前半戦の貯金がものを言っているJ1リーグでこそ、依然首位を走ってはいるが、内容を不安視する向きは少なくない。
しかしながら、それはむしろ当たり前のことでもあるのだろう。
昨季の二冠達成(リーグ戦、天皇杯)を置き土産に、中村憲剛が引退し、守田英正は海外移籍。過去3度の優勝を支えてきた主力も歳を重ね、35歳の家長昭博を筆頭に、小林悠、谷口彰悟、登里享平らが、軒並み30代のベテランとなった。加えて今夏は、成長株の田中碧、三笘薫が相次いで海外移籍したのだから、チーム力アップどころか、現状維持すらも簡単なことではない。
むしろ今季、これだけの強さで首位を堅持し続けていることのほうが不思議なくらいだ。ここに来て、少々雲行きが怪しくなるのも無理はない。
もちろん、川崎にしても次なる戦力の準備に抜かりはなかった。今季は23歳の橘田健人、22歳の遠野大弥、20歳の宮城天といった若手が台頭してきている。
しかし、彼らは脇役として舞台に立ち、好演技を披露することができるからといって、すなわち主役にとって代われるわけではない。
そんな不安がうかがえたのが、直近のJ1第30節、湘南ベルマーレ戦だ。
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