J1残留は本当に大丈夫? 苦境が続いているガンバ大阪の危うい現状 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

「簡単な失点が非常に多い。切り替え、戻りながらの守備の対応がよくない」

 松波監督はそう言って嘆いたように、1、3点目はいずれもロングカウンターからの失点。あたかも同じ映像を繰り返し見ているかのごとく、守備への切り替えが遅く、簡単にドリブルでボールを運ばれた挙句、ゴール前での対応も拙(まず)く、楽々とシュートを打たれてしまっている。これでは、失点が増えるのも当然のことだろう。

 G大阪は、8月以降のルヴァンカップ、天皇杯を含めた公式戦12試合で、無失点試合が5試合ある一方で、複数失点を喫した試合は6試合に上る。失点せずに耐えているうちは何とかなっても、ひとつの失点で堰(せき)を切ったように失点を重ねてしまう。そんな傾向がはっきりと表れている。

 特に最近はそれが顕著で、直近3試合で計10失点という惨状だ。松波監督は試合後、「前半は守備の面では、中盤でのプレッシング、背後への対応は準備してきたものを出せた」と語っていたが、その見立てに素直にうなずくのは難しい。どこで攻撃を制限し、どこでボールを奪おうとしているのか。全体に強度が低く、狙いがボンヤリとしていた印象は拭えない。

 しかしながら、守備と攻撃は表裏一体。有効な攻撃を繰り出せないなかで、守備だけ頑張ってくれ、というのも無理がある。

 鹿島戦を見ていても、G大阪は前線のFWパトリックへ向かってロングボールを入れるしか打つ手がなく、有効な攻撃手段を持ち合わせていなかった。

「ずっと(鹿島に)ボールを持たれていて、(自分たちが)攻めることがなく、この展開では勝てないと全員が思っていたと思う」

 3バックの一角を務めたDF高尾瑠がそう振り返ったのも、無理はない。失点を重ねたあと、選手交代とシステム変更で「前へ行く姿勢はしっかり見せてくれた」(松波監督)とはいえ、事態を一変させるには程遠く、焼け石に水の感は否めなかった。

"互いに勝ちがないチーム同士"の似た者対決も、終わってみれば、内容、スコアともに歴然と差が開く結果に終わった。

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