「ここが差か......」中村俊輔が感じた日本と強豪国の違い。世界との距離感は「今が一番、難しいところ」 (3ページ目)
難しいのは、日本のレベルが上がったこともあると思う。W杯でもベスト16から8を狙うところまで来た。今が一番、難しいところだよね」
世界のトップがぼんやりと見えながら、同時に埋められない差を皆が感じている。だからこそ、歯痒いコメントがあちこちから聞こえてくるのだろう。
個々の選手について言えば、前述したように、中村が海を渡った19年前と今では取り巻く環境が大きく変わった。若手選手が当たり前のようにヨーロッパでプレーするようになったが、それは果たして日本人選手がレベルアップした証と言えるのだろうか。
「当時、もっとマーケットが開いていたら、多くの日本人選手が向こうに行っていたと思う。今みたいに"ゼロ円"で移籍していいとなると、自然と機会は増える。当時も能力を持っていた人は、いっぱいいたと思う」
そう言うと、中村は視線を遠くに向けた。
「多くの選手が海外でプレーするのは、すごくいいことだと思う。向こうで環境が変わると、ハングリーになるしかないから。自立して、プレーに力がみなぎっている選手がいるじゃん? ああいう選手はJリーグでは作れない。
紅白戦でも、海外では寄せのスピードが全然違うし。みんな、『俺が一番だ』という感じで臨んでくるからね。それと比べると、日本の練習はぬるいところがある」
レッジーナでは3連敗したあと、スーパーマーケットで買い物をしている時にサポーターから怒鳴りつけられたこともある。駐車場に戻ったら、クルマにイタズラをされていた。結果を残せなかったことへの腹いせに違いない。
セルティックでは、勝てなかった試合後は外食を控えた。常勝を義務づけられ、勝ち点3をとれなかったあとには、外でリラックスすることもはばかられるような世界だった。
「周りのサッカーに対する視線が、日本とは違うからね。死に物狂いさが違う。そうした環境自体は変えようがないから、逆に選手や指導者がどんどん出て行くしかない。そうしていけば、日本代表が1歩、2歩、もっと先にいけるかもしれない」
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