なぜ日本はストライカーが育たないか。中村憲剛と佐藤寿人が真剣に考えた (5ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

中村 たしかにプレッシャーをかけないといけないかもね。とくに育成のところでは、ほかのことをやらなくても点を取ってくれれば、あまり口うるさくしないとか。だけどその変わり、結果を出せなければ、躊躇なく代える。そういう危機感のある状況に置くことも必要でしょう。

◆中村憲剛×佐藤寿人「日本サッカー向上委員会」。本音炸裂です>>

---- 育成のところから変えていかないといけない、ということですね。

中村 子どもの頃なんて、点取り屋がいっぱいいるじゃないですか。でも、年代が上がるごとに、少なくなっていくんですよね。

佐藤 子どもの頃に点が取れる選手って、フィジカルに秀でていたり、技術的にずば抜けていたりするんですけど、その年代である程度突出すると、刺激がなくなるので努力をしなくなるんですよ。逆に足りないほうが、埋めるための努力を積み重ねられる。そこは育成の難しさでしょうね。

中村 壁を作るということで、挫折を経験させることも大事かもしれない。上の年代に早めに上げたりしてね。そうすると、通用しないから考えるようになる。点を取るためにどうやって動き出せばいいのか、どこに顔を出せばいいのかって。

(中編につづく)

【profile】
中村憲剛(なかむら・けんご)
1980年10月31日生まれ、東京都小平市出身。久留米高校から中央大学に進学し、2003年にテスト生として参加していた川崎フロンターレに入団。2020年に現役を引退するまで移籍することなく18年間チームひと筋でプレーし、川崎に3度のJ1優勝(2017年、2018年、2020年)をもたらすなど黄金時代を築く。2016年にはJリーグ最優秀選手賞を受賞。日本代表・通算68試合6得点。ポジション=MF。身長175cm、体重66kg。

佐藤寿人(さとう・ひさと)
1982年3月12日生まれ、埼玉県春日部市出身。兄・勇人とそろってジェフユナイテッド市原(現・千葉)ジュニアユースに入団し、ユースを経て2000年にトップ昇格。その後、セレッソ大阪→ベガルタ仙台でプレーし、2005年から12年間サンフレッチェ広島に在籍。2012年にはJリーグMVPに輝く。2017年に名古屋グランパス、2019年に古巣のジェフ千葉に移籍し、2020年に現役を引退。Jリーグ通算220得点は歴代1位。日本代表・通算31試合4得点。ポジション=FW。身長170cm、体重65kg。

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