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ユンカーは成功の条件がそろっている。連続ゴールで浦和は上昇傾向 (2ページ目)

  • text by Tsugane Ichiro
  • photo by Sano Miki

 また、外国籍選手のなかには「なんでもかんでも俺がやる」といったタイプの選手もいる。ブラジル人選手に見られるケースだが、個で打開する怖さはある一方で、組織だったプレーだと持ち味を発揮できない場合も多い。

 その点でユンカーは、フィジカル面で高さと強さの優位性を持っているものの、そこに頼るタイプではない。加えてヨーロッパ出身の選手らしく、組織的なサッカー戦術への理解度を持ち合わせている。

 なんでもかんでも自分でやろうとはしないし、自分が求められている仕事が何かを十分に理解してプレーを選択している。だからこそ、加入してすぐにゴールを量産できているのだろう。

 もう一つユンカーが成功している理由は、彼のパーソナリティーも関係しているように感じる。プレーや振る舞いを見ていると、「Jリーグで成功したい」という思いとともに、日本サッカーをリスペクトしている真摯さが伝わってくる。

 ヨーロッパからJリーグに来る指導者や選手には、強烈な自負心が結果的に壁をつくってしまい、成功できないケースがある。つまり、過去の成功体験を上から目線で押し付けて周囲の反発を招いてしまうということだ。

 異なる文化に飛び込むために鎧を着るか、鎧を付けずにいるかの違いとも言えるが、ユンカーは同じ目線で飛び込んだことで、チームにフィットするのに苦労しなかったのではないかと思う。

◆無名で来日→まさかのブレイク。Jリーグから大出世した助っ人たち>>

 これから先は相手のマークがさらに厳しくなっていくはずだが、彼の決定力が完全に封じ込まれることはないと予測している。それはユンカーがゴール前での仕事に専念できるだけの攻撃の形が、いまの浦和にはあるからだ。

 昨季までの浦和は興梠慎三以外に多くの得点が期待できる選手が現れず、攻撃の形も行きあたりばったりの感が否めなかった。戦い方のコンセプトが、目先の勝敗によっていろいろと変わってしまったように見えた。

 それが今季の浦和は、リカルド・ロドリゲス新監督の下、DFラインからボールをつなぐスタイルを徹底。シーズン開幕前はコロナ禍で十分な時間が取れたわけではなく、何事もはじめからうまくいくことはない。大敗を喫することもあった。

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