アビスパ福岡11戦無敗。「勢い」のひと言では片づけられない強さがある

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Kyodo News

 J1昇格1年目のアビスパ福岡が勢いづいている。

 5年ぶりにJ1で迎えるシーズンとあって、開幕直後の3試合こそ2敗1分けと出遅れたが、その後は粘り強く勝ち点を重ね、第10節からは破竹の6連勝。第16節の横浜FC戦で1-1と引き分け、連勝はストップしたものの、7戦連続無敗は依然として継続中だ。

横浜FC戦も1-1で引き分け、リーグ7戦連続無敗と好調なアビスパ福岡横浜FC戦も1-1で引き分け、リーグ7戦連続無敗と好調なアビスパ福岡 ルヴァンカップも含めれば、4月14日に行なわれたJ1第19節の川崎フロンターレ戦で1-3と敗れたのを最後に、11戦無敗(8勝3分け)。実に1カ月以上も公式戦で負けていないのである。

 川崎の圧倒的独走で、優勝争いという点ではやや興ざめの感もある今季J1に、福岡はちょっとしたサプライズを提供している。

 数字のうえでは、福岡は堅守を武器とするチームと言えるのだろう。

 昨季J2で2位となった福岡の総得点は51点。リーグ最多の得点を挙げて優勝した徳島ヴォルティスの67点を大きく下回る。リーグ全体でも10番目にすぎない得点数である。

 しかしその一方で、総失点29点は徳島の33点を下回るリーグ最少。4-4-2のコンパクトな布陣を形成し、素早いプレスと左右のスライドでボールを奪い、速攻を仕掛ける。たとえプレスをはがされ、自陣までボールを運ばれたとしても、ゴール前でしっかりはね返す力も備えている。そんな組織的に整えられた戦いぶりは、安定感という意味において際立っていた。

 だが、こうした戦い方のチームにありがちなのは、勝ちパターンが限られてしまうことだ。すなわち、"先行逃げ切り"である。

 相手のエンジンがかからないうちに首尾よく先制点を奪って、そのまま逃げ切る。あるいは、粘り強く守りを固めて相手を焦らし、一瞬のスキをついて得点する。そんな戦い方だけでは、どうしても稼げる勝ち点に限界がある。

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