アビスパ福岡11戦無敗。「勢い」のひと言では片づけられない強さがある (3ページ目)
もちろん、好調とはいえ、今の福岡に課題がないわけではない。
後半に追い込みが利くということは、裏を返せば、前半の出来がよくないことを意味する。福岡の長谷部茂利監督が横浜FC戦を振り返り、「自分たちの入り方を改善していかないと。同じようなゲームを何回かしている」と話すとおりだ。
キャプテンのMF前寛之にしても、「試合後には全員で『試合の入りからもう少しやらなければいけない』と話した」と言い、「(後半に)うまく改善して1-1にしたのはいいが、うまくいかないところを前半のうちに改善する力をつけないといけない」と反省の弁を口にする。
だが、現実的に考えて、90分間スキのない戦いを、しかも1シーズン通して続けることなど不可能に近い。むしろ今の福岡は、先に失点しても気持ちが切れてしまうことなく、まだ取り返せると自信を持って戦えていることが、好結果につながっていると、前向きに解釈してもいいのではないだろうか。
過去の歴史を振り返っても、堅守を売りにJ2を勝ち抜き、J1昇格を手にしたまではよかったが、昇格後に苦労するケースは少なくない。点を取られないことだけを武器に、明らかにレベルが一段上がるJ1を戦い抜くのは、やはり簡単ではないからだ。
ひとつの勝ちパターンだけに頼り、それが崩れたときには成す術がなくなるようでは、長いシーズンは乗り切れない。
長谷部監督が語る。
「連勝記録は止まったが、次節からまたはじめの一歩。(最近7試合を)負けなしできていること、勝ち点を積んでいることを続けていきたい」
勢いがある――。そのひと言では、今季の福岡は語れない。
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