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ガンバ大阪、監督解任は効果なし。スタジアムに響く選手の「口喧嘩」 (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

 この状況にG大阪は、昨季チームを2位に導いた宮本恒靖監督を早くも解任。松波正信監督を新たに据えたが、状況は改善されることなく2連敗。前監督在任時からの通算では4連敗が継続中だ。

 もちろん監督が変わることで、選手起用や戦術に多少手を加えられることはあるだろう。それが、奏功するケースがないわけではない。

 だが、"劇薬"の投与はそうしたことよりも、選手の危機感を煽り、奮起を促すという意味合いのほうが強い。だからこそ、シーズン途中の監督交代には即効性が期待されるわけだが、残念ながら、その効果も今のところ期待薄である。

 三浦は「なかなか得点も取れず、勝ち星も取れず、選手もチームも苦しい時期にある」と言い、こう続ける。

「(互いのプレーに必要な)要求が、文句とかネガティブなほうへ進むのはよくない。ポジティブな声を掛け合い、状況を打破していくしかない」

 皮肉なことに、観客数が5000人以下に制限されているスタジアムでは、ピッチ上の選手の声がよく響く。

「上がれよ!」
「なんで?」

 キャプテンが指摘するまでもなく、G大阪の選手が口にする"文句"は、スタンドの記者席にも何度となく届いた。

「(選手たちが)自信を持ってやれていないのを、(久しぶりに)ピッチに入って感じた」

 ケガから復帰したばかりのMF小野瀬康介がそう話したように、勝てないなかで溜まってきたフラストレーションは、危機感や奮起に変換されることなく、そのまま悪い形で噴き出してしまっているのかもしれない。

 G大阪がボールを保持し、FC東京をゴール前にくぎづけにする時間は確かに長かった。

 だが、ピッチ上の選手それぞれが考えていることがバラバラでは、同じ絵を描けるはずもなく、互いの狙いが噛み合わない。自然とボールの失い方が危険な形になり、逆に危ういカウンターを受けるハメになるのも仕方のないことだった。

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