日本人No.1の司令塔は誰か。元日本代表「10番」名波浩がベスト10を選んだ (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・構成 text by Asada Masaki

3位 中村俊輔(横浜FC)

 一般的に司令塔と言うと、攻守両面でゲームを司るような選手がイメージされるかもしれないけれど、俊輔は言わば"攻撃的司令塔"。ゲームを作ることよりも、ゴールを演出することへの意識がかなり強い。攻撃偏重かもしれないけれど、そのプレーの質が高すぎるから、やはりトップ3に名を連ねる。

 止まっているボールのキックは言うまでもなく、インフロントキックのミドルパスも本当に質が高い。でも、それ以上に彼の技術がずば抜けていると思うのは、インサイドキックだ。俊輔が19歳で初めて日本代表で一緒になったときから、「こいつ、オレよりうまいな」って感じていた。

 サッカーは常にトレンドが移り変わっていくし、試合中の局面もどんどん変わっていくけれど、そのなかでも見ている人が「やっぱり、中村俊輔はこうじゃなきゃ!」って思ってくれるプレーをこれからも見せてほしい。

2位 家長昭博(川崎フロンターレ)

 大宮アルディージャ時代からそうだったけれど、味方がボールを奪ったあとのファーストプレーでは、だいたい家長にボールが入る。なぜなら、ボールロストしないからだ。常に(相手から)逃げることができるエリアにボールを置いておく技術がすばらしい。彼自身、そういう役割を感じながらプレーできているんだと思う。

 右サイドでコンビを組む選手、今だったら山根視来だけど、そういう選手のよさを自分で解釈しているから、特長を邪魔せずにスペースを使わせてあげられる。だから、お互いにアクションが速くなり、ボールロストの可能性も低くなる。

 それに家長は、実は意外とスピードもある。相手選手はそれを警戒し、はがされそうだと思うと一瞬距離を開けてしまう。そのスキにボールを持ち直して、クロスとか、シュートとか、決定的な仕事ができる。彼の才能を考えれば、遅咲きだったかもしれないけれど、まだまだステップアップしている感はある。

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