高校サッカー選手権のロングスロー、あれってファウルじゃない?【2020年度人気記事】

  • 清水英斗●文 text by Shimizu Hideto
  • 木鋪虎雄●撮影 photo by Kishiku Torao

2020年度下半期(20年10月〜21年3月)にて、スポルティーバで反響の大きかった人気記事を再公開します(1月10日配信)。

高校サッカー選手権で大きな得点源になっている、ロングスロー高校サッカー選手権で大きな得点源になっている、ロングスロー 冬の高校サッカー選手権と言えば、話題になるのがロングスロー。今年も青森山田高校がロングスローで多くの得点を挙げたのをきっかけに、数日前からサッカー系のSNSは『ロングスローの好き嫌い』で持ち切りだ。ある意味、風物詩のようなもの。年始感がすごい。

 話題の中心は「好き嫌い」であって、「OKかダメか」ではない。主観だ。そこがまさに、この手のテーマが盛り上がる理由でもある。好き嫌いに正解はない。正解のない議論は誰でも発言しやすく、果てしなくつづく。ロングスローに限らず、サッカーはそんな話が多い。

 一方、なかには「あれってファウルスローじゃないの?」とルール違反を問う声もあるそうだ。そこはハッキリさせたほうがいいかもしれない。

 正直、何回かに1回はファウルスローだと思う。サッカーの競技規則では、スローインの項目は以下のとおりに記載されている。

ボールを入れる時、スローワーは
・競技のフィールドに面して立って、
・両足ともその一部をタッチライン上またはタッチラインの外のグラウンドにつけ、
・ボールが競技のフィールドを出た地点から、頭の後方から頭上を通して両手を用いて
ボールを投げなければならない。

 焦点は2つめだ。「両足とも(中略)グラウンドにつけ、」と書いてある。スローワーはボールを投げる時、両足ともに地面から離れてはならない。しかし、ロングスローの場合は投球フォームに勢いがあるので、後ろ足が浮いてしまいがち。

 そこでスローワーは、その後ろ足を勢いのまま、地面を擦りながら前へ持って行き、最後は両足をそろえるような姿勢で投げる。この工夫をすれば、投球の勢いを殺さずに飛距離を出し、なおかつ両足も地面から離れない、というわけだ。

 でも、本当に? 本当に、本当に、その後ろ足、地面を擦り切ってると言える??

 浮いてない? 実は、浮いてない? ほんの一瞬、浮いてない?

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