J1天王山の川崎vs名古屋。首位攻防2連戦の注目ポイントは? (3ページ目)

  • 後藤健生●文 text by Goto Takeo
  • photo by Getty Images

 しかし、名古屋の両翼にはスピードを生かして相手守備ラインの裏を取るのがうまい、相馬勇紀やマテウス、前田直輝といったサイドアタッカーがそろっている。彼らを生かして、川崎のサイドバックが守備に回る時間を長くすべきだろう。

 というのも、川崎には守備面で一抹の不安を抱えているからだ。

 もちろん、川崎は守備力も高い。最前線のレアンドロ・ダミアンをはじめとする前からのプレッシングは強力。また、パスサッカーを追及するだけあって相手のパスコースを読む「目」を持っているから、中盤で相手のパスを分断できる。

 したがって、川崎の守備が機能している時間帯は、相手チームはハーフラインを越えて川崎陣内にボールを持ちこむことすらできなくなってしまう。

 だが、川崎は12試合で8失点しているのも事実だ。

 たとえば、直近の第10節サンフレッチェ広島戦でも川崎のプレッシングは効果的で、前半は広島に自陣への進入を許さず、1本のシュートも打たせなかった。あの青山敏弘が前を向いてボールを持ってもパスコースが見つからず、バックパスせざるを得ない場面が何度もあった。

 だが、川崎は65分に広島のジュニオール・サントスに裏を取られて独走を許し、こぼれ球を森島司に決められてしまった。川崎の典型的な失点パターンである。

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 マテウスや相馬、前田といった名古屋の裏抜けの名人たちが、その川崎の弱点を突けば必ず得点チャンスは生まれるはずだ。

 両チームのプレースタイルから考えて、川崎がボールを保持して攻める時間が長くなるのは間違いない。だが、名古屋守備陣がホーム豊田スタジアムでの"ファーストレグ"を無失点で切り抜けたとすれば(アウェーでのスコアレスドローは勝点でリードしている川崎にとっても悪い結果ではない)、ホームに戻った川崎は「超攻撃的の看板にかけても得点しよう」と攻撃の意識がさらに高くなるはず。

 そこで、川崎の最終ラインが前がかりになった瞬間に、名古屋のスピードスターたちがうまく裏を取れれば、名古屋はアウェーで「ウノゼロ」の勝利をものにできる。

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