「選手寿命がなくなっていく」昌子源が抱えていた苦悩と代表への思い (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 牛島寿人●撮影 photo by Ushijima Hisato

 そうした状況にあって、昌子は昨季のリーグ戦終了後、右足首の手術に踏み切った。まだ天皇杯決勝が控えていたが、最終的に新シーズンのことを考えて「一日でも早く手術したほうがいい」というチームや宮本恒靖監督の判断もあってのことだ。

 手術に際しては、かつて同じ個所をケガしたことのある森重真人(FC東京)や酒井宏樹(マルセイユ)らに連絡を取って話を聞いた。現在は「痛みはゼロじゃないですけど、痛み止めの注射も薬も飲んでいない」状態にあるという。完治まで、一歩一歩近づいていることは間違いない。

――手術後、右足首は順調に回復していますか。

「今は70~80%ぐらいですね。昨年は痛め止めの注射を打って、そのぐらい無理してやっていましたけど、今年は注射も薬も飲んでないですし、痛みのストレスもなくなりつつあります」

――まだ違和感みたいなものはあるのでしょうか。

「今は痛くないんですけど、昨年はずっと痛かったわけじゃないですか。そのせいか、体というか脳が『右足首が痛い』というのを覚えてしまっていて、ボールを蹴ろうとするとめちゃくちゃ足首が固まるんですよ。すると、ボールが明後日の方向に飛んでいくんです。練習だとどうしても考える時間があるので、そういうシーンが出てしまう。それが今のストレスですね。これは、試合で無我夢中でやっていくなかで克服していかないといけない」

 まだ本調子ではないが、完治に向けて何をすべきか明確になっているので、話す表情は明るい。今季も主将は三浦弦太だが、昌子もチームを引っ張る存在になっていくだろう。

――さて、2021年シーズンの目標を聞かせてください。

「目標はリーグ戦の優勝。もちろんACL(AFCチャンピオンズリーグ)も獲りたい。僕がガンバに来た目的は、ガンバを常に優勝争い、つまりタイトルに絡むところにいるチームにすること。ここ数年、優勝争いに絡めず、世間から中堅クラスのチームみたいなイメージをもたれていたと思うんです。でも、僕が知っているガンバは強かったし、常に優勝争いに絡んでいるチームだった。

 僕ひとりの力じゃ無理だけど、そういうチームに戻す手助けをしたいというのが最大の目的です。その延長戦上に、目標として優勝がある。ガンバが優勝したら『ようやった』とみんな思ってくれたらいいなって思うし、そう思わせたいなって思っています」

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