齋藤学が移籍を決意した理由。「あの1点がなかったらしていないかも」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 だが、齋藤に対するチームの評価は、想像していたものとは違った。チームにすべてを捧げ、自らは点が取れずともチームの勝利を優先して戦ってきた自負があったが、それは伝わっていないようだった。

 そんな時に川崎からオファーが届き、同じ神奈川県のクラブへ移籍を決めたことで、サポーターからは「裏切者」と言われた。痛みを伴う移籍ではあったがそれでも前を向いた。その川崎では思うような活躍ができず、苦しい時間が多かったが、契約延長のオファーをもらった。

 しかし、最終的に名古屋に行くことを決断した。

「正直なところ移籍はあまり好きじゃない。今回の名古屋にしても米(米本拓司)くんと柿くん(柿谷曜一朗)は知っているけど、選手やスタッフほとんどが初対面で、環境も全然違う。やりづらさとか、結果を残せなかったらどうしようという不安もあります。でも、今回はあえてそこを選びました。やっぱり、終わった選手みたいに言われるのってすごくつらいものなんです。でも、そんなもんじゃないっていうのを見せるために、僕は頑張らないといけない」

 名古屋は、昨シーズン、リーグ最少失点27で堅固な守備が特徴のチームだ。一方で、なかなか点を奪えずにとりこぼす試合が多かった。そこを補強するために齋藤を始め、複数の攻撃的な選手、そして中盤もタイプの異なる選手を獲得しており、優勝への本気度を見せている。

「名古屋は質の高い選手が多いし、ひとつのポジションに選手が2人ずついる。紅白戦をやってもどちらがスタメンなのかわからない。かなり競争は激しいけど、それも含めて名古屋に来ているので」

 そう語る齋藤の表情は、どこか楽しそうだ。名古屋での目標は、どう考えているのだろうか。

「リーグ優勝です。マリノスを始めフロンターレ、FC東京と強いところを全部倒して優勝したい。そこで堂々と胸を張って、僕がこのチームを勝たせましたと言えるような活躍をしたい。たとえサブになったとしても裏からチームを支えていく。それはフロンターレで経験してきたので、名古屋でも盛り上げていけると思っています」

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