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齋藤学が移籍を決意した理由。「あの1点がなかったらしていないかも」 (4ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun
  • photo by Kyodo News

 監督の信頼は、選手のモチベーションになり、いいパフォーマンスをするために必要な動機になる。誰か人のために戦うということは、個人で戦うよりもはるかに大きなエネルギーを生み、いいプレーに結びつく。しかし、信用を得るのは簡単なことではない。

 齋藤は、監督の信頼の度合いは自分の起用方法で理解できるという。

「今、ここで点が欲しいという時に交代させられたり、試合に使ってもらえないのは信用がない。そういう意味では薫は鬼(鬼木達)さんにすごく信用されていた。試合で相手にリードされていたら100%出られていたし、出て点を取るから『薫はすごいな』って思っていた。自分のサッカー人生で、本当に信用されて使われていたのって愛媛とマリノスだけかなって思うんですよね。だから、名古屋では監督に信頼されて、ずっと試合で起用される選手になりたい」

 力を発揮すれば、名古屋の攻撃陣には阿部浩之、マテウス、前田直輝、ガブリエル・シャビエルらがおり、川崎にも劣らない凄みと脅威と迫力を持つことになるだろう。

「期待をされるのはうれしいけど、僕は昨シーズン1点しか取っていない(苦笑)。でも、だからこそ名古屋で点を取れば、あいついいじゃんって思ってもらえる。選手の中にはチームが変わって、輝く選手がいる。僕もそうなれるように頑張ります」

 住み慣れた街を離れ、自分との勝負に挑むのは愛媛以来になる。あの時はレンタル移籍経て、「ハマのメッシ」と呼ばれるほど成長し、相手の脅威になった。川崎では、先輩たちが進化する背中を見てきた。今年31歳になる齋藤にも、そのチャンスは十分にある。中村俊輔がMVPを獲得したのは34歳、中村憲剛は35歳、家長昭博は31歳だ。

 齋藤は、彼らがそうだったように今年、リミットを越えた進化を見せてくれるはずだ。

プロフィール
齋藤学(さいとう・まなぶ)
1990年4月4日生まれ。神奈川県出身。169cm、66kg F W
2009年に横浜F.マリノスの育成組織からトップチームに昇格。愛媛FCにレンタル移籍後、マリノスに復帰したが、2018年に川崎フロンターレに移籍し、昨シーズンは優勝に貢献した。今季、完全移籍した名古屋グランパスで活躍が期待される。

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