三笘薫の挑戦。脱スーパーサブでドリブラーから「真のエース」へ (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 もちろん、2ゴールを奪った結果だけで判断したわけではない。このG大阪戦では持ち前のドリブルを披露する機会が少なかった一方で、オフ・ザ・ボールの動きに工夫が見られたのだ。

 逆サイドからのクロスに合わせる動き、縦パスを呼び込む動き、そして背後への動き出しと、いかにパスを引き出し、ゴールへ向かうのか。局面を打開してチャンスメイクするよりも、自らがゴールを奪うという主張がその動きからは感じられた。結果を意識し、実際に2ゴールを決めたのだから、さぞ満足のいく試合となったに違いない。

 もっとも、試合後の三笘は2ゴールを喜ぶよりも、2点のリードを追いつかれたことを悔いた。

「2−0で折り返して、2−2にもっていかれてしまったのは反省点。個人としても得点以外は何もできていない印象があるので、改善していきたい」

 さらに三笘は、「後半の2失点は前線の責任」とまで言い切った。リードしている状況で、もっとやるべきことがあったのではないか。

「前線の選手でも、守備で貢献しないといけないので反省しています」

 その言葉の背景には、守備ができなければスタメンでは使われない、という危機感があるに違いない。

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 昨季の三笘は30試合に出場したものの、スタメン出場は11試合にとどまった。記録した13得点の内訳は、スタメンで5得点、途中出場からで8得点だった。スタメンでもまずまずの結果を出しているとはいえ、途中出場から流れを変えるスーパーサブのイメージが強かった。

「途中からでしか決められないと思われているので、スタメンで出た時にもっとシュートを打って、ゴールに絡むのが課題。スタメンでも途中からでも、ゴールを決めないといけない」

 三笘は昨季、自身の課題をそう口にしている。

 ドリブラーの三笘とすれば、相手の動きが衰え、スペースも生まれやすい途中出場からのほうが、自らの特長を発揮しやすいと言えるだろう。あの"80メートルドリブル"も、途中出場から生まれたものだ。

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