有望な若手を次々と引き抜かれ...。ヴェルディ永井秀樹監督のジレンマ (5ページ目)

  • 会津泰成●取材・文 text by Aizu Yasunari
  • 写真提供:東京ヴェルディ

――最後に、あらためてヴェルディというクラブのあり方について、監督として目指すことは何か教えてください。

 ヴェルディがヴェルディであり続ける、ということ。もう一度日本サッカー界にとって一番誇れる存在になること。J1という本来いるべき場所に戻らないといけないし、J1の中でも一番上。そこを真剣に目指していくためには、過程、プロセスがものすごく大事。まだまだ足りないことはわかっている。

 綺麗な花が咲き乱れる、見た人たちが心から感動できる花壇をつくりたい。綺麗事と言われるかもしれないけど、自分はサッカーの価値、スポーツの価値、たった一試合かもしれないけど、見た人の心を打つようなサッカーを実現したい。

「いやいや、そんな綺麗事や、10年、20年先の話なんてどうでもいいから、まずは目の前の、J2の試合で勝てよ」と批判されることも十分わかる。でも、目の前にある1試合1試合の大切さも誰よりもわかっているつもりだし、同時に『何でもいいから勝てばいい』では先につながらないことも身を持って経験してきた。

 我々が今年も変わらずやることは、すばらしいヴェルディをつくる、みなでこのクラブを再建する、そして目の前の1試合1試合にも全力で向き合う。負けていい試合はひとつもない。未来を見据えつつ目の前の試合を勝ち抜いていくことは非常に難しいけれど、それでもやらなければならない。選手とともに日々のトレーニング、目の前の試合、1プレー1プレーの重みを感じ、理解しながら、ヴェルディ再建という目標に向かってこれからも戦っていきたい。

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